ゲット・アウト

ゲット・アウト “Get Out”

監督:ジョーダン・ピール

出演:ダニエル・カルーヤ、アリソン・ウィリアムス、
   ブラッドリー・ウィットフォード、キャサリン・キーナー、
   ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、スティーヴン・ルート

評価:★★★★




 何の変哲もない優しそうな家族。恋人の家に招かれたら、そりゃ多少の緊張はするだろうけれど、そこに入り込むのは悪くない?たとえ自分が黒人で、恋人一家が白人だったとしても?…当然のように秘密を抱えた白人家族。『ゲット・アウト』は人種差別を扱ったホラーだという。

 信用できそうな人々が裏の顔を持っているという設定自体に目新しさはないものの、そこに浮上させる問題の見せ方が、何から何までスマートだ。後半、主人公の黒人青年が肉体的にピンチに陥る。そこに至るまでの違和感、言い換えるなら精神的苦痛こそが素晴らしい。

 父親はバラク・オバマに三期目が許されるなら彼に投票すると言う。母親も頷いて穏やかな笑みを崩さない。そう、彼らは肌の色なんかで人を判断することのない、聖人とは言わないまでも、結構な人格者だ。けれど、その周りには、青年が違和感を感じる場面がてんこ盛り。良い人なんだろうけれど、どこかずれてない?それ、本気で言ってるの?

 違和感の正体に気づいた青年は身の毛もよだつ恐怖を覚える。何を大袈裟な?いや、でもひょっとすると、これは多くの黒人が日常、白人と付き合う中で時折、あるいは頻繁に感じるものに通じているのではないか。善き白人の友がいても、でも完全には溶け合えない何かを感じる瞬間があるのではないか。ジョーダン・ピール監督はそれを映像化したのではないか。

 だからこの映画はあからさまな人種差別主義者よりも、自分には差別意識などないと自信満々に宣言できるような人ほど、ドキリとするだろう。己の中に隠れているかもしれない無意識の差別が刺激されたとき、本当の恐怖が始まる。差別意識という言葉が過激過ぎるなら、人間同士の間に絶対的に越えられない何かがあることへの気づきと言い換えても良い。

 ピールはやたら黒人への理解をアピールする白人を描きながら恐怖と同時に笑いを炙り出すことを忘れない。催眠術にまつわるエピソードはもちろん、理解が奇妙に映る白人の滑稽さ、大胆不敵な物語の転調、避けられない白人の黒人への肉体的劣等感…。ある場面の青年は両目を見開き、その白い部分が真っ赤に染まり、そして涙を流す。口はあんぐり開き、そして身体はソファーから動かない。大袈裟にも見えるそれは、恐怖と笑いを同時に浴びる観客の姿でもあるのだ。





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