アトミック・ブロンド

アトミック・ブロンド “Atomic Blonde”

監督:デヴィッド・リーチ

出演:シャーリズ・セロン、ジェームズ・マカヴォイ、ジョン・グッドマン、
   ティル・シュヴァイガー、エディ・マーサン、ソフィア・ブテラ、
   ジェームズ・フォークナー、ビル・スカルスガルド、サム・ハークレイヴ、
   ヨハンネス・ヨハンネッソン、トビー・ジョーンズ

評価:★★★




 綾瀬はるかよ、これがアクションだ。較べるのも失礼と承知しつつ、つい言いたくなる。綾瀬主演のとあるTVドラマに出てきたお遊戯が、どうやらアクションとして撮られたものらしいからだ。映画とテレビというメディアの違いあれど、ここまで差が出るか(驚くべきことに、綾瀬アクションを格好良いと誉めそやす人々もいるらしく、確かに他の日本女優よりは身体は動いているけれど、あぁ、でも、どこまで甘やかすのだ)。

 『アトミック・ブロンド』には本物のアクションが出てくる。それも主演女優がマジでやってのける。シャーリズ・セロンだ。「マッドマックス 地獄のデス・ロード」(15年)で遂に覚醒したか。セロンが英国秘密情報部MI6のスパイに扮し、身体を派手に動かしながら男たちを次々なぎ倒す。特筆すべきは拳や蹴りの重さだ。そこには確かな「痛み」がある。

 入念な振りつきアクションのはずだけれど、全くそう見せない自然な流れがあり、しかも全身のバネが使われたそれであるから迫力もたっぷり、音響が絶妙の塩梅で味つけする。車という狭い空間での突然の攻防や、ホースを使った不敵な脱出劇、構図が冴える銃を構えながらのカーチェイス等、見せ場は次々登場。トドメを刺すのは終幕にある、寂れたビルに逃げ込んだ際、階段を不敵に利用したバトルだ。長回しにしか見えない撮影が捉えるのは、その身体能力を証明するセロンの紛れもない勇姿だ。

 男たちをやっつけるのに女を捨てる必要はない。その証拠にセロンは、最高にクールで、最高に色気のあるスパイだ。ヒールの高いブーツ、ビッグなサングラス、スタイリッシュなコート、輝くプラチナブロンド。セロンがその全てに魔法をかける。フェミニンな要素がほんの僅かにもアクションの邪魔にならない。格好良いとはこういうことを言うのだ。

 「モンスター」(03年)の高評価に惑わされたか、セロンは以降、その美貌に抗うようなドラマ映画ばかりに好んで出てきた。そのせいか、たまに軽い映画に出ても演技が「マジ」に見えてしまい、その美貌を完璧に活かせたかというと疑問が残る。ところが、「怒りのデス・ロード」でセロンは遂に突き抜けた。中途半端さに別れを告げ、そのアクション自体にドラマ性を宿す肉体を獲得した。この映画はセロンが新しいステージに突入したことを高らかに宣言する。多少老けてきたのも、むしろ面白い。

 物語はベルリンの壁崩壊前夜だ。各国諜報員の名前が書かれたリストが盗まれ、その争奪戦が始まるというもの。イギリスはもちろん、ドイツ、ソ連、フランス、そしてアメリカが血眼になりリストを手に入れようとする。そこに謎の二重スパイの存在も見え隠れして、事態は二転三転する。仕掛けられた捻りは手が込んでいるものの、こういう映画ではあまり頭を使いたくない。ただ、登場人物の心理戦という点においては一定の効果を上げている(ジェームズ・マカヴォイの存在が効いてくる)。

 原作はグラフィックノヴェルなのだという。血生臭い展開や画が続いてもポップな味が忘れられないのは、その影響か。遂に時代が動くという冬のベルリンの空気感、ファッションや音楽に顕著な80年代カルチャーをも、セロンは容易く自分のものにする。セロンが演じたスパイの名はロレーン・ブロートン。今度はどこで大暴れするのか。続編、大いに希望する。





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