猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) “War for the Planet of the Apes”

監督:マット・リーヴス

出演:アンディ・サーキス、ウッディ・ハレルソン、スティーヴ・ザーン、
   アミア・ミラー、カリン・コノヴァル、ジュディ・グリア、テリー・ノタリー、
   ガブリエル・チャバリア、タイ・オルソ、トビー・ケベル

評価:★★★




 シリーズの主役乗っ取りは、「猿の惑星:新世紀(ライジング)」(14年)の段階で完了している。そう、『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』の主人公はシーザーだ。可愛らしい子猿として登場したシーザーは、嫁を貰い、息子をふたり設け、凛々しい顔のまま白髪が目立つ。演じるアンディ・サーキスよりも数段容姿に恵まれているのが可笑しい。

 ただ、三作目ともなると、これだけ素晴らしい視覚効果を突きつけられても感動が薄れてしまうのは致し方ないところ。もはや本当に喋る猿がいるとしか思えないのに、それに対する驚きは少なく、むしろ当たり前のように受け入れる。要は慣れてしまうのだ。これは良いことではない。作り手もそれを承知しているのか、戦争映画として物語を構築する。

 いや、「新世紀(ライジング)」も戦争映画風ではあった。ただ、そちらが派手なアクションに包まれた昔ながらの戦争らしい戦争を描いていたのに対し、今回は静なる戦争を見つめている。戦争が終わらない理由。憎しみの連鎖。それぞれが信じる大義。人間側に寝返る猿の出現。希望の象徴となる少女。裏切りと献身。敵となる人間軍のリーダーを演じるウッディ・ハレルソンの描き方など、なかなかの複雑さを湛えている。

 これを分かりやすい戦争映画として提示するのではなく、シーザーの心の旅路に浮かび上がらせるのが巧いのだ。善玉猿のシーザーが愛する者を殺されたことをきっかけに、自らの中にある闇と対峙する。哀しみや怒りと並走するのは、激情に駆られた己の行動に対する冷静な視線で、それゆえの苦悩が生々しい。シーザーはハレルソンの闇の中にまで入り込み、戦争の無常を感じ入る。

 その苦悩が一挙に解放されるクライマックスのアクションが見ものだ。猿たちの脱走劇、シーザーとハレルソンの対決、悔恨と再生が入り混じる激闘、また別の人間軍による攻撃、自然の脅威…等が一緒くたになり、壮大なるカタルシスを導く。アクションという点においては、前二作より大分控え目なのを、ここで一気に挽回した感じだ。

 ただ、暗い。こんなに暗くしなくても良いのではないか。これも昨今流行りのハリウッドの現実主義の表れなのか、寓話的側面は影を潜め、ひたすら深刻に真面目に、猿と人間の関係が綴られ、過剰に息苦しい感じは拭えない。コメディリリーフとして登場するバッドエイプ(スティーヴ・ザーンが猿になってもこういう役回りなのが笑える)の存在だけではカヴァーできないものがある。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ