愛を綴る女

愛を綴る女 “Mal de pierres”

監督:ニコール・ガルシア

出演:マリオン・コティヤール、ルイ・ガレル、アレックス・ブレンデミュール、
   ブリジット・ルアン、ヴィクトワール・デュボワ、
   アロイーズ・ソヴァージュ、ダニエル・パラ

評価:★★★




 ヒロイン、ガブリエルは面倒臭い。冒頭、教師の男に一方的に熱を上げた彼女は、彼に身重の妻がいることも構わず求愛。それが叶わないと知るや、人前で彼を突き飛ばし罵倒するのだから。しかもその後失踪、一晩中歩き明かした挙句、村の捜索隊に倒れているところを発見されるだなんて…。お近づきになりたくない女と言えよう。

 『愛を綴る女』は彼女の半生を追う。親の願いにより無理矢理結婚したスペイン人労働者の男との暮らしに、療養先で知り合った美しき帰還兵が入り込むことから起こる顛末を描く。スペイン男に「あなたを絶対に愛さない」と言い放つ女は、帰還兵に瞬く間に恋をする。そう、これはメロドラマだ。

 …となると、ヒロインを演じる女優が重要だ。今やフランスのトップに立つマリオン・コティヤールが、この面倒臭い女に吸引力を与える。おそらく彼女に共感を覚える人はほとんどいないだろうけれど、それでもこの女を見ていたい、その行く末を見守りたいという気持ちになる人は少なくないのではないか。突飛な行動の中にコティヤールは愛の不可思議な重力を捕まえてみせる。

 コティヤールが見せる官能は直接的な描写よりも(本を舐める場面は例外)、虚ろな表情に宿る。思い込んだら一直線、愛の隙間のないような女でも、時には風に吹かれるように佇むことがある。コティヤールはそこに、若くはない女の色気を忍ばせる。

 ただ実のところ、本当に面白いのは妻に翻弄されるスペイン男の夫だ。自分を愛さないという女に「俺も愛していない」と返す男の、静かなる愛の形が終幕なって急激にせり上がる仕掛けがなされている。トリッキーな見せ方は陳腐でも、夫の想いだけは嘘臭く映らない。演じるアレックス・ブレンデミュールは顔立ちも肉体も力強さや野性味に欠けるのがもどかしいけれど…。

 それから山や海といった美しい景色の切り取り方も見ものだ。ハリウッドが撮るフランスの自然はどこまでもポストカード仕様になってしまうのだけれど、ここでははっきりと生活の匂いがあるのだ。衣食住にまつわる生の息遣い。これがあるだけで少々安いメロドラマも、ちゃんと見られるものになる。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ