アメリカン・バーニング

アメリカン・バーニング “American Pastoral”

監督・出演:ユアン・マクレガー

出演:ジェニファー・コネリー、ダコタ・ファニング、ピーター・リーガート、
   ルパート・エヴァンス、ウゾ・アドゥーバ、
   モリー・パーカー、デヴィッド・ストラザーン

評価:★★




 ユアン・マクレガーの長編監督デビュー作となる『アメリカン・バーニング』は重い映画だ。主な舞台となるのは1960年代から70年代にかけてのアメリカで、ある家族の栄光と転落を歴史と絡ませながら描き出す。いや、家族の混沌にアメリカの姿を見ると言う方が正確か。思い切った試みはしかし、ほとんど機能しない。

 まずつまらないのが、アメリカ近代史が背景にしかならなかった点だ。月面着陸やウッドストック、ウォーターゲート事件等に触れることで時代色を出すことはしても、それが家族の問題とは無視を決め込む。ヴェトナム戦争や公民権運動、暴動が生活の中に入ってきても、それは経験に過ぎない。転落のきっかけにはならない。

 高校時代アメフトの花形選手だった父親とビューティーコンテストで優勝する美貌を持つ母。手袋工場を営み、富にも恵まれ、けれどそこに生まれた一人娘はいつしかテロ行為に走る問題児になる。その落差が強烈であり、両親がそれにより壊れていく姿を差し出すことはできても、「戦争に関心のない幸せな中産階級」と己の家族を嘲る娘の変貌は一向に説明がつかない。

 いや、説明がつかないことこそがマクレガーの答えなのかもしれない。吃音や母の美貌への劣等感、厭世的な時代、それに目をつけた宗教…娘を取り巻く状況は一つひとつ検証されはしない。マクレガーは代わりに、その手応えのない不安に包まれた生活に、華やかなるアメリカの裏の顔を見ている。結構。ただ、それが独り善がり、或いは自己陶酔に見えるのが難だ。

 もしかしたらマクレガーは題材に近づき過ぎたのかもしれない。家族の問題により大きな深刻さを見て、その解決を願うばかりに、父や母の苦悩の表情に固執する。母の精神崩壊もあり、とりわけ父の不幸が際立つ。ただ、家族を愛したいだけなのにそれができない父の哀愁。その点におけるマクレガーの演技表現は狂いがない。

 もし仮に演出家マクレガーが題材と冷静な距離感を取れていたら?ひょっとすると「フォレスト・ガンプ 一期一会」(94年)的時代のうねりが、いつの時代にも普遍的な、家族だからこその難しさを物語にもたらしたかもしれない。この厚みのなさでは、家族の崩壊の原因が時代に放り投げられているようで、気分が悪い。





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