ブルーム・オブ・イエスタディ

ブルーム・オブ・イエスタディ “Die Blumen von gestern”

監督:クリス・クラウス

出演:ラース・アイディンガー、アデル・エネル、
   ヤン・ヨーゼフ・リーファース、ハンナー・ヘルツシュプルンク

評価:★★




 男はナチスの戦犯を祖父に持ち、女は収容所に入った祖母を持つ。男女が出会えば何かしらの電流が走るもので、それが恋であることが多いのだけど、『ブルーム・オブ・イエスタディ』の男女もそうだからややこしい。恋の障害となるのは、あまりにも暗く深く陰惨な歴史だ。直接本人とは関係ないそれが、奇妙にまとわりついて離れない。

 これをドシリアスに見せられたら堪らない。何とも仰々しいメロドラマが出来上がるのではないか。それを避けるべく積極的に投入されるのが、毒入りユーモアの数々だ。豪快ゆえに戸惑いながら観ていたところで、車からパグ犬が放り投げられる。奴らは本気だ。

 笑いの原動力となるのが、男の生真面目で頭でっかちな性格と、女の気難しく行動の読めない気性で、なるほど随分派手にその愛憎がぶつけられていく。所々確かに可笑しい。ただ、突き抜けられたそれになったかというと…???

 こういう展開にするなら、話を追う毎に人物の愛嬌が見えてくるものだけれど、彼らが一向に魅力的にならないのだ。それぞれの抱えている秘密が明かされ、輪郭ははっきりしていく。しかし、それと同時に、彼らには決して近づきたくない気配も濃厚になっていく。そんな彼らの距離が開いたり縮まったり…は、はっきり言ってさほど楽しいものではない。狙い通りという気もするものの、意味が分からない。

 とりわけ男の方に違和感がある。演じるラース・アイディンガーの魅力不足が原因か。脳天ハゲがユダヤ人の帽子を思わせるのは面白いものの、それでもシリアスな態度からは決して切り離すことのできない佇まいと言うか何と言うか。ヒロインのアデル・エネルの方はケイト・ウィンスレットを思わせる美貌と確かな演技力で健闘しているのだけれど、あぁ、でもあって欲しい軽さが不足気味かもしれない。

 「手紙は憶えている」(15年)では戦争を直に経験した人間の消えていく今という時代が切り取られていた。そこでできたこの映画は、過去と現在をいかに繋ぎ、それゆえの苦悩を抱え、乗り越えていくかを描くところに意義があったはずだ。その狙いはタイトルの意味を噛み締められない後味を考えると失敗と見るべきではないか。ラストのある人物の名前がやけに虚しく感じられる。





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