ドリーム

ドリーム “Hidden Figures”

監督:セオドア・メルフィ

出演:タラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイ、
   ケヴィン・コスナー、キルスティン・ダンスト、ジム・パーソンズ、
   マハーシャラ・アリ、オルディス・ホッジ、グレン・パウエル

評価:★★★★




 1960年代初頭、アメリカが成功した有人宇宙飛行の裏側で、三人の数学者が活躍したことはほとんど知られていない。まあ、宇宙に飛び出すのだから、天才的に数字に強い者がどうしたって必要であることは想像がつく。でも、三人が女で、しかも黒人だったら?数学者と聞いて黒人女性を想像した人がどれだけいるだろう。そこで『ドリーム』だ。

 人種差別の色がまだ強く残る時代。彼らは数々の偏見や憎悪に立ち向かう。そしてもちろん、それを乗り越えていく。つまりこれは定石通りのストーリーだ。彼女たちが差別に打ちのめされて終わることは考え難いし、たとえ仮にそうなったとしても最終的には希望を見せることだろう。そうしないと有人飛行の成功と美しく共鳴しない。

 ベタな罠にハマりそうなところをどう突破するのかが、セオドア・メルフィ監督の腕の見せ所だ。メルフィは三人を泣き叫ぶ方向に導くことで同情を獲得しようとはしない。むしろ毅然とした態度で物事に向き合う姿を愛でる。三人はいつも背筋がピンと伸びていて、常にユーモアを忘れず、誇りを見失うこともない。差別の森を迷いなく突き進む。それは自分自身への信頼の表れだ。

 もちろんそれは仕事にも関わる。文句を言うより、愚痴をこぼすより、涙に明け暮れるより、何より効果的なこと。それは仕事で結果を出すことだと彼女たちは知っている。だからこそこの映画は気持ち良い。暑苦しい人情ドラマに流されそうになると、キャラクターがそれを拒否して、それよりもこの成果を見てと訴える。彼女たちが信用と敬意を勝ち取る様が格好良いのだ。

 三人を演じたタラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイの誰がいちばん優れているかを判定するのは難しい。主人公はヘンソンでも、スペンサーもモネイも輪郭がはっきりした、美しく聡明な人物として輝いている。いずれも表情で心情を伝える。かつそれがベトベトしていない。

 三人の周辺人物も適当な彫り下げがなされる。中でもNASA宇宙特別研究本部のリーダーを演じるケヴィン・コスナーは儲け役と言って良いポジションで目立つ。宇宙バカのひとりである彼は、己の周りに差別があることすら自覚していない状態から、それに気づき、力のある者を冷静・平等に評価する男へと静かに変わる。頼もしいことだ。彼が言い放つ「NASAでは小便の色は皆同じだ」(Here at NASA we all pee the same color.)は名台詞のひとつに認定して良い。





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