シークレット・デイ

シークレット・デイ “Every Secret Thing”

監督:エイミー・バーグ

出演:ダイアン・レイン、エリザベス・バンクス、ダコタ・ファニング、
   ダニエル・マクドナルド、ネイト・パーカー、コモン

評価:★★★




 18歳の少女アリスを演じるダニエル・マクドナルドが、ニューヨーク郊外をゆっくり歩くショットが目に焼きつく。マクドナルドはかなり身体が大きく、のっしのっしという表現が似合う。その背中に漂う孤独の匂いと僅かな狂気が異様な空気を創り出す。『シークレット・デイ』を思い出すとき、誰もが彼女の背中が頭を過るのではないか。

 7年前に起きた少女ふたりによる赤ん坊殺しの真相、そして彼女たちが少年院から出た直後に起こる新たなる赤ん坊失踪事件が並行して描かれる。どちらも深刻な状況で、その謎が物語の吸引力になっている。エリザベス・バンクス演じる刑事は両事件を担当。捜査の過程で真相はもちろん、少女ふたりを取り巻く歪んだ気配に気づく。

 そしてそう、その歪んだ気配こそに旨味がある。事件の被害者である裕福な家庭の者たちが放出する偏見の影。自分の領域に異物を持ち込む者を徹底的に排除することを躊躇わない冷徹な性。加害者とされる少女たちとその周辺人物が置かれた貧しい境遇。自分以外の誰かから注がれる愛情により、いくらでも表情を変える人間関係。とりわけ愛情問題が大きな意味を持ち、それが物語を陰鬱なものにする。

 ふたりの少女アリスとロニー(ダコタ・ファニング)はどちらも、マクドナルドの母親ヘレンから愛情を受ける。この愛情の歪みが全ての事件の根本にあるように読める展開が恐ろしく、かつ考えさせられる。出所したばかりの娘に向かって「仕事は見つかった?」としか聞かないヘレンの、静かな異常性がじわじわ効いてくる。決して彼女は娘を愛していないわけではない。むしろ愛している。愛しているけれど、男運のなかった己の人生と絡んだそれが、怪物性を秘める。演じるダイアン・レインがそれをパーフェクトに差し出す。

 するとその娘アリスの巨体がまた別の意味を持ち始めるではないか。母親に愛されていないのではないかという恐怖。世間の太めの人間に対する辛辣な態度と憐みの眼差し。初めて愛情を感じたときに生まれた何かに対する執着。町中をのっしのっしと歩く様は、まるで愛を求めて彷徨う孤独な魂そのものだ。マクドナルドの起用は正解だろう。

 いよいよ全ての真相が明らかになる件で、アリスに起こった刑務所内の出来事が意味を持つという展開はやや唐突だし、ロニーを追い詰める終幕の嫌な後味はあまり意味があるとは思えない。ヘレンとアリスの間に流れる母と娘でしか分かり合えない繋がり、或いは母と娘だからこそ分かり合えない繋がりに集中した見せ方が欲しい。レインとマクドナルドならば、十分可能な願いだろう。





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