ヘッドハンター・コーリング

ヘッドハンター・コーリング “A Family Man”

監督:マーク・ウィリアムス

出演:ジェラルド・バトラー、グレッチェン・モル、アリソン・ブリー、
   マックス・ジェンキンス、アヌパム・カー、アルフレッド・モリーナ、
   ウィレム・デフォー、ジュリア・バターズ

評価:★




 仕事と家庭、どちらが大切か。散々語られてきたテーマだからと、それだけでゲンナリするのは早い。『ヘッドハンター・コーリング』は仕事と家庭、両者の装飾があざとく、ほとんど真面目に付き合っていられなくなるのだ。ハートをどこかに置き忘れたヘッドハンターが、息子が急性リンパ性白血病に罹ったことで人生を顧みる…だなんて、何と質の悪い冗談か。

 悪者にされやすい職業と言うと、ウォール街絡みのそれが圧倒的に多いものの、この主人公が就いているヘッドハンターという仕事も、いやらしさ全開で描かれる。仕事という人の人生を左右する重要なものを、利益優先でお手玉を操るように投げては取って投げては取ってを繰り返す。弱者の気持ちなどお構いなしに、人を物のように扱い、己こそが支配者だと傲慢さを隠さない。

 しかもこの職業に就いているのがジェラルド・バトラーだ。常に目が血走り、声は威圧感に塗れ、常に前へ前へと出てくる演技者であるバトラー。彼が役柄の嫌な側面を強調すればするほど、主人公をどんどん嫌いになる。いや、それは狙い通りか。けれど、嫌いになったまま後戻りできないのは誤算ではないか。終幕の改心がギャグに見える。猿芝居に見える。人を馬鹿にしているように見える。

 傲慢な人間の心を動かすには、泣かせに走るしかない。そう踏んだ作り手が彼の息子をどんどん弱らせていくのには、甚だ閉口させられる。もちろん息子は可愛らしく、健気で、潤んだ瞳で両親への愛を表現するのだ。こんな可愛い子がいるのに、それでも仕事にしがみつく主人公はなんて馬鹿だろう…というわけだ。作り手は己の計算の胡散臭さにてんで気づかない。

 我の強さばかりが目立つバトラーよりも、バトラーの上司を演じるウィレム・デフォーや何とか仕事に就きたいアルフレッド・モリーナの方がドライなユーモアを感じさせて胸に残る。特にモリーナは得な役どころで、ある展開があり、バスルームでひとり芝居を見せる場面が秀逸だ。

 物語は「誰だって幸せになれる」というありきたりの結末に向かって強引に突っ走る。主人公の職場における立場の変化、息子の急変を中心に交錯するのは、破廉恥なお涙頂戴とちょっと良い話風の人情の押し売りだ。新しい人生を踏み出す主人公の姿が、自己満足に浸っているだけにしか見えないことに何故気づかない。本当に不思議だ。





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