パターソン

パターソン “Paterson”

監督:ジム・ジャームッシュ

出演:アダム・ドライヴァー、ゴルシフテ・ファラハニ、
   バリー・シャバカ・ヘンリー、クリフ・スミス、チェイセン・ハーモン、
   ウィリアム・ジャクソン・ハーパー、永瀬正敏、ネリー

評価:★★★★




 『パターソン』はニュージャージー州のパターソンという名の町に暮らす、パターソンという名の男が主人公だ。彼はバス運転手で、同時に詩人でもある。物語はパターソンの一週間を描く。パターソンの周りでは派手な事件が…物の見事に起こらない。なるほど監督はジム・ジャームッシュだ。

 ただでさえ詩的と形容されることの多いジャームッシュ映画。ここでは主人公が詩を何度も謳い上げるものだから、ますますその色は濃い。…なんて浅はかに思うのが恥ずかしくなるほど、詩のリズムが心地良いこと。「秘密のノート」に書く文字の愛しさから始まり、パターソンの落ち着いた声が被さり、陰影に富んだ映像が柔らかにそれを包み込む。

 退屈で代わり映えしない日常。しかし、そこには心の豊かさに繋がるものがたっぷり転がっている。7日間毎日パターソンと妻が朝ベッドに横になっているショットから始まる。けれど、当たり前のことながら、ふたりが寝ている体勢は毎朝違っている。そして、たったそんなことに気づくだけで、景色が違って見える。

 パターソンがすれ違う人々、バスの乗客、声をかける人、声をかけてくる人…が皆面白い。年齢も性別も職業も人となりも全く異なる人々。なぜか双子遭遇率が高いという可笑しみもある。パターソンは彼らと絶妙の距離を保つ。口元に僅かな笑みを浮かべながら。

 パターソン役にアダム・ドライヴァーを起用するあたり、ジャームッシュの目は相変わらず確かだ。何事も動じることなく、時の流れを身体全体で受け止めることのできる人。ドライヴァーの飄々とした佇まいが、パターソンのゆっくりした呼吸と美しい掛け合いを見せる。終幕パターソンにとってショックな出来事があった後に呟く「オマエなんか嫌いだ(I don't like you, Marvin.)」の一言が最高だ。

 ゴルシフテ・ファラハニ演じる妻が創り出す白と黒を使った空間の美しさにも胸を掴まれる。家の内装も、衣服も、クッキーも、ギターも白と黒が豊かに使われる。そこにブルドックのマーヴィン(本名ネリー)が入り込む楽しさよ。マーヴィンの恍けた動きと表情も日常の大切な一部だ。パターソンの住人になりたい、パターソンの世界の住人になりたい衝動に駆られるのも致し方ないだろう。





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