ベイビー・ドライバー

ベイビー・ドライバー “Baby Driver”

監督:エドガー・ライト

出演:アンセル・エルゴート、ケヴィン・スペイシー、リリー・ジェームズ、
   エイザ・ゴンザレス、ジョン・ハム、ジェイミー・フォックス、
   ジョン・バーンサル、CJ・ジョーンズ、フリー、スカイ・フェレイラ、
   ラニー・ジューン、ビッグ・ボーイ、キラー・マイク、
   ポール・ウィリアムス、ウォルター・ヒル

評価:★★★★




 音楽ファンなら誰でもオリジナルのカセットテープを作ったことがあるだろう。いや、今の時代ならプレイリスト作りか。恋人とのドライヴ用?仲間とのパーティ用?リラックスしたいとき用?思い切り泣きたいとき用?エドガー・ライトはスマートなアクションに痛快にハマるプレイリストを作り、かつそれを映像化してしまった。それこそが『ベイビー・ドライバー』だ。

 オープニングから目を見張るのが、音楽と映像、そしてアクションの奇跡のような融合だ。真っ赤なスバルWRXの運転席に座った「ベイビー」が、音楽と美しく同化し、快感以外の何物でもない所作&アクションを次々キメる。とりわけ、これだけ音楽の力を借りたカーチェイスはまさしく前代未聞。撮影と編集が大きく貢献する。映画が本当にプレイリスト化する。

 驚くべきは身体や車の動きという分かりやすいアクションだけが音楽とシンクロするわけではないことだ。ライトはアトランタの雑踏や夜の闇をも音楽と密着させる。街全体の息遣いを音楽で表現したと見ることも可能だ。その点でアクション版「ラ・ラ・ランド」(16年)という形容は、あながち的外れではない。

 可笑しかったのは銃撃戦で、これがまたバックミュージックと抜群の掛け合いを見せるのだ。この際、大々的に取り上げられるのが「Tequila」なのが妙にツボにハマる。他にも、ベイビーを音楽と一緒に全力疾走させてサスペンスを引き出すのはもちろん、ベイビーと愛する女の子のデートも音楽がさり気なくふたりをサポート、ホッとする空間作りがなされている。

 人物もグループのボスを演じるケヴィン・スペイシーを始め、それぞれクセが強く、犯罪劇を大いに刺激する。周りが濃いおかげで、ベイビーの無垢な個性が際立つのはもちろん、狙い通りだろう。アンセル・エルゴートの「ベイビー」フェイス(とりわけぷっくり唇)も効いている。ますます可愛らしいリリー・ジェームズと相性も抜群だ。

 ライトの巧さは一般人を無駄に事件に巻き込まない周到さにも表れている。銀行強盗場面ひとつ取っても、血生臭さは極力排除され、車や人物を動かすことで直接的な描写を避けている。暴力よりも肉体が生み出すサスペンスを信じているのだ。

 これまでのフィルモグラフィを見れば分かるように、ライトはオタク的感性をユーモラスに映像化してきた人で、決して万人受けする作品は撮ってこなかった。それがここに来ての方向転換。果たしてこれは単なる変化球なのか否か。間口を広げても、ベイビーの人物造形にはこれまで同様のオタク性が感じられ、ライトの未来はますます明るいように見えるのだ。





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