みんな元気

みんな元気 “Everybody's Fine”

監督:カーク・ジョーンズ

出演:ロバート・デ・ニーロ、ドリュー・バリモア、ケイト・ベッキンセール、
   サム・ロックウェル、ルシアン・メイゼル、ダミアン・ヤング、
   ジェームズ・フレイン、メリッサ・レオ、キャサリン・メーニッヒ、
   ブレンダン・セクストン・サード、ジェームズ・マータフ

評価:★★




 1990年の同名イタリア映画は苦手な監督の作品だからか、特に思うところはない(なぜ日本人はそれほどまでにジュゼッペ・トルナトーレを愛するのか。長年の謎)。それをハリウッドがリメイク。設定は同じでも、しかし違う映画だと考えた方が良いだろう。辛辣さが意識されても、最終的にはハートウォーミングなところに落ち着いていく『みんな元気』である。

 それぞれが大人になり、久しく会っていない子どもたちに、妻に先立たれた初老の男が会いに出かける話。イタリアとは国土の大きさがまるで違うアメリカだから、移動がとにかく大変で、男はなんとニューヨーク、シカゴ、デンヴァー、ラスヴェガスを列車とバス、そして飛行機を使って大移動。にも関わらず、ロードムービー的な趣はほとんどないのが残念無念。途中、トラックドライヴァーのオバチャンとのちょっとした会話が良かったぐらいだろうか。あくまで焦点は男と子どもたちの間の家族ならではの微妙なズレに合わせられている。

 主人公を演じるのはロバート・デ・ニーロで、最初は役不足ではないかと思ってしまう。一人暮らしゆえに独り言が増え、寂しくて誰か傍にいる人に話しかけ、連絡をすることなく突然会いに行き驚かせようとする。逆らえない老い。肉体的なものだけではない。精神的なものまでが老いていく。この人生の普遍的な寂しさを怪優として鳴らしたデ・ニーロが演じるべきだろうか…。ところが徐々に見えてくる。デ・ニーロゆえに感じるものが多いのではないかと。どんな人間でも老いを避けて通ることはできず、デ・ニーロでもそれは同じで、「あのデ・ニーロですら」とそれがしみじみと伝わるのではないか。ジイサンなデ・ニーロを「いとをかし」と愛でながら感じ入ることのできる、この配役は正しいのだと気づく。

 子どもたちとのやりとりに特別なところはない。うねりのないドラマを繋いだ印象しかなく、湿っぽいのもどうか。デ・ニーロが勘が良過ぎるのも、物分かりが良過ぎるのも、脚本の拙いところだ。ただし、奇を衒ったところがないがゆえに、家族ならではの微妙な距離感は良く出ている。父親を愛していないわけではないのに、全てを話すことはできない。心配をかけまいと嘘をつく。問題に気づいても、それを突っ込むことができない。離れて暮らしている時間が長いと、余計にぎこちない。当人たちもそれを感じながらも、積極的に解決しようとはしない。

 デ・ニーロが抑えに抑えた演技で久しぶりにイイ。子どもを見つめる優しい目も、子どもたちの嘘を知りながらそれを悟られまいとする頬も…。例のデ・ニーロ スマイルも、今回は複雑なニュアンスを伝えてくる。子どもたちに次々と「幸せか?」と語り掛けるのも、デ・ニーロであるがゆえに、言葉通りのものにはならない。

 子どもたちとの関係の底に、親の期待が敷かれているあたりは鋭い考察だけれど、ここをもう少し上手く演出できていれば、傑作は無理でも、佳作にはなったかもしれない。音楽と編集を控え目に処理して、デ・ニーロに懸けたあたりは正解なのだから。





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