素敵な遺産相続

素敵な遺産相続 “Wild Oats”

監督:アンディ・テナント

出演:シャーリー・マクレーン、ジェシカ・ラング、デミ・ムーア、
   ビリー・コノリー、サンティアゴ・セグーラ、ハワード・ヘッセマン、
   マット・ウォルシュ、レベッカ・ダ・コスタ

評価:★




 物語よりも何よりもまず、気になって仕方がない違和感は、ジェシカ・ラングがはしゃげばはしゃぐほど怖いという事実だ。理由は明白。その寄り目から来ている。歳を取ると顔の特徴が補強されるという法則通り、元々の寄り目がますます寄ったラング。あなたのせいではない。せいではないけれど、やっぱり寄り目ってコメディに合わない。

 その点、シャーリー・マクレーンは若い頃からお馴染みの離れ目がますます離れ、老いても愛嬌は健在だ。ラングにはない軽さでドタバタを楽しんでいる。二大女優対決はマクレーンの圧勝だ(そもそもラングの役柄は必要だったのかどうか)。ちなみにマクレーンの娘役で出てくるデミ・ムーアがコメディに合わないのはもちろん、あの地獄の底から響いてくる嗄れ声が原因だ。

 『素敵な遺産相続』は手違いで500万ドルの保険金を手にした老女ふたりのヴァイタリティを愛でようという趣旨の映画だ。大金を手にしたふたりが向かうのはスペイン領カナリヤ諸島。ファーストクラスの空の旅。超一流のホテル。手当たり次第のショッピング。カラフルなドレスとメイク。勝ち負けを気にしないギャンブル三昧。男を調達してセックスにも耽る…なんて悪ノリ(?)は、「セックス・アンド・ザ・シティ」(08年)でも意識しているのか。

 問題はこれが、ヴァイタリティ云々ではなく、単にバカに見えるところにある。ふたりに近づく痴呆気味の男が絡む詐欺エピソードは、老いて何も学ばなかったのかと問い質したくなる浅はかさに支配されていて、見え見えの詐欺にハマるふたりが、あんぽんたん以外の何者でもない。

 つまりこれは、人生賛歌への斬り込みが雑ということだろう。老人を若者のようにドタバタさせ、若者には負けないと謳う。そこには老いる過程で獲得した経験から来る知恵というものへの敬意が僅かほどにもないのだ。これはマクレーン、ラングという二大女優への冒涜にも通じるのではないか。

 大体、金を手にした際に真っ先にやってのけるのが「豪遊」というのがつまらないのではないか。あまりにも庶民的で分かりやすい。人生の先が見えたとき、やり残していることは何か。別に真面目臭くなれとは言わないけれど、そして同じようにそうしてしまう自分も簡単に想像できるけれど、ハッとするような映画的興奮が欲しいとどうしても思ってしまうのだ。





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