8月までに公開された作品の中でオスカーの可能性があるのは…? 2017

※この文章は、アカデミー賞専門サイト OSCAR PLANET のために書いたものの転載になります[先行公開]。




 第89回アカデミー賞最大のトピックは…何と言っても作品賞の誤発表に尽きるでしょう。ウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイが読み上げた「ラ・ラ・ランド」(16年)ではなく、「ムーンライト」(16年)こそが真の受賞映画だったという前代未聞の出来事。事前予測も、当日の式の流れも、完全に「ラ・ラ・ランド」で決まりという空気が出来上がっていたので、余計にその衝撃は大きなものでした。

 あれから半年が経ちました。その後、このあってはならない誤発表を多くの人はどう受け止めているでしょうか。おそらく早々と笑い話として捉えているのではないかと思います。「ラ・ラ・ランド」組の心を思うと本当に心苦しいミスでしたが、このミスのおかげで「ラ・ラ・ランド」は束の間の作品賞受賞映画として伝説になった…と言うのは、案外言い過ぎではないでしょう。勝利し、しかしそれを奪われ、けれどだからこそますます人々の心に深く刻まれた映画。それが「ラ・ラ・ランド」です。「ショーシャンクの空に」(94年)や「L.A.コンフィデンシャル」(97年)も作品賞には届きませんでしたが、それでも今や映画ファンの誰もが認める大傑作です。それに「ムーンライト」が「ラ・ラ・ランド」に負けない本当に優れた映画だったことも幸運なことでした。

 誤発表の原因は、投票の集計と管理を担当するプライス・ウォーターハウス・クーパースの担当男女二名の内、男性の方が作品賞発表時、主演女優賞の予備封筒をベイティに渡してしまったことにありました。直前に主演女優賞受賞者エマ・ストーンの写真をSNSに挙げるなど、集中力を欠く行動をしていたこともあり、男性は強く非難されました。

 事務所やアカデミーは事態を重く見て、担当ふたりが今後式に出入りすることはないと発表しています。個人的にこれを少々寂しく思います。もちろんミスは許されるものではありませんが、次回の式で名誉挽回の機会を与えて(もちろん謝罪込みで)、その後去らせる度量の広さを見せても良いのではないかと、つい甘く思ってしまうのです。と言うのも、ミスをした男性は数年前の式でマット・デイモンに似ているとして壇上で揶揄われた人であり、それを利用してジョークにできそうな気がするので…。笑ってアカデミーから送り出す…ダメですか?

 ところで、今年はここまでどんな作品が支持されたのでしょうか。今回は第90回アカデミー賞(主要6部門)が9月上旬に開かれたとしたらどうなるか考えてみました。対象は今年の1月から8月までに公開された作品となります。対象期間が短いので、作品賞は5作品を選びました。もちろん違う意見の方も多いでしょうが、それほど大差ないはずです。おぉ、今年はいつになくヴァラエティに富んでいます。これなら多様性大好きの方々にも気に入ってもらえるのではないでしょうか。




◆作品賞
The Big Sick(マイケル・ショウォルター監督)*
Detroit(キャスリン・ビグロー監督)
ダンケルク(クリストファー・ノーラン監督)*
ゲット・アウト(ジョーダン・ピール監督)*
ワンダーウーマン(パティ・ジェンキンス監督)

◆監督賞
キャスリン・ビグロー(Detroit)
パティ・ジェンキンス(ワンダーウーマン)
クリストファー・ノーラン(ダンケルク)*
ジョーダン・ピール(ゲット・アウト)
エドガー・ライト(ベイビー・ドライバー)

◆主演男優賞
ブライアン・クランストン(Wakefield)
サム・エリオット(The Hero)
リチャード・ギア(Norman: The Moderate Rise and Tragic Fall of a New York Fixer)
ダニエル・カルーヤ(ゲット・アウト)
ヒュー・ジャックマン(LOGAN ローガン)

◆主演女優賞
ガル・ギャドット(ワンダーウーマン)
アン・ハサウェイ(シンクロナイズドモンスター)
サルマ・ハエック(Beatriz at Dinner)
ニコール・キッドマン(The Beguiled)
デブラ・ウィンガー(The Lovers)

◆助演男優賞
ジョン・ボイエガ(Detroit)
ジョン・リスゴー(Beatriz at Dinner)
ウィル・ポールター(Detroit)
マーク・ライランス(ダンケルク)
パトリック・スチュワート(LOGAN ローガン)

◆助演女優賞
キルスティン・ダンスト(The Beguiled)
エル・ファニング(The Beguiled)
ホリー・ハンター(The Big Sick)*
キャサリン・キーナー(ゲット・アウト)
ティルダ・スウィントン(オクジャ okja)




 今年は既に賞レース参戦確実と言われる作品が大ヒット&高評価になっています。その作品とはもちろん、クリストファー・ノーランの『ダンケルク』。戦争映画の節々にノーランならではの映画術が炸裂する傑作との賛辞が飛び交っているのです。ノーランはこれまで決してオスカーに愛されてきたわけではありませんが、今度こそ主役になるかもしれません。また、娯楽映画からは『ワンダーウーマン』の健闘も期待したいところです。女性を主人公にしたヒーロー映画としてワールドワイドな成功を収めた記念碑的作品。果たしてワンダーウーマンは前例を破るオスカーでの成功を収めることができるでしょうか。

 さて、この中から誰が勝ち抜けるでしょうか(* はその可能性が低くないコンテンダーです)。





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