ロスト・エモーション

ロスト・エモーション “Equals”

監督:ドレイク・ドレマス

出演:ニコラス・ホルト、クリステン・スチュワート、
   ジャッキー・ウィーヴァー、ガイ・ピアース、
   トビー・ハス、デヴィッド・セルビー、ベル・パウリー

評価:★★




 戦争により人類の大半が死亡した近未来を舞台にした『ロスト・エモーション』の世界では、感情というものが悪と見なされ、人々は遺伝子操作により感情を失ったまま生きている。ニコラス・ホルトとクリステン・スチュワートはそんな状況下で、感情を蘇らせる。当然のように恋に落ちるふたり。偶然同時期に感情を取り戻した相手が美男美女でラッキーなふたりでもある。

 感情を取り戻したと言っても、ホルトもスチュワートも無表情の場面が多い。ただその分、さり気ない動きが有り難く感じられる。例えば視線を交わすだけで、或いは手を触れるだけで、或いは長く会話するだけで…。愛が燃え上がるに連れ、ふたりが人間らしい所作を取り戻していくところは見どころだ。普段我々が当たり前のように見ている何気ない動作は、こんなにも感情と密着した面白いものなのだ。

 ただ、そこに至るまでの物語であるため、作品全体の印象はぼんやりしたままに留まる。この極端な世界観は他者との直接的なコミュニケーション不足が嘆かれる現代社会を反映させたものであることは明白で、最初からその否定から入りながら、主役ふたりは慎ましく葛藤を繰り返す画が続く。無駄のない白い美術と衣装に占められた画面を美しく思うのは序盤のみだ。

 どう考えても好意的に見られない社会は当然、陰鬱を誘う。感情豊かになって瞬く間に病気と見なされてしまう空間は、まるで作品自体が病んでいるかのように単調で、そこでホルトとスチュワートがぼそぼそと愛を語り合っても焼け石に水。ほとんど催眠術をかけているよう。クライマックスに派手な脱出劇が始まるかと思ったら、それもあっさり阻まれるのが寂しい。

 終幕のふたりはおそらく「ロミオとジュリエット」を大いに意識している。行き違いと死の影が大々的に取り上げられ、ふたりの愛も盛り上がりそうだ。実際、作り手はふたりにロミジュリ以上に哀しい(と言って良いかもしれない)試練を与える。ただ、説明は最小限に留める。行間を読んでくれということだろうけれど、単純に独自の解釈から逃げたようにも見えなくもない。

 ホルトとスチュワートが初めて身体を重ねる場面はもっとじっくり撮っても良かった。こういう世界観になると性処理はどうなっているのかと下衆に思うわけだけれど、やたら美しく綺麗に撮ることを意識した画面で、かえって嘘臭く感じられる。それこそ獣と獣に戻った激しさ(例えばキスで糸を引くような)が欲しい。こんな重要な場面でもふたりの体温はほとんど感じられないのだ。





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