怪物はささやく

怪物はささやく “A Monster Calls”

監督:J・A・バヨナ

出演:ルイス・マクドゥガル、フェリシティ・ジョーンズ、
   シガーニー・ウィーヴァー、リーアム・ニーソン、
   トビー・ケベル、ジェラルディン・チャップリン

評価:★★★




 怪物は少年の住む家のすぐ裏の教会の墓地にある「癒しの木」から生まれる。死にゆく母と暮らす少年は怪物から三つの物語を聞き、それが終わると少年もまたある物語を語ることになる。そう、『怪物はささやく』はファンタンジーの色が濃い。ただし、その味わいは全く子ども向けではない。

 一見少年が母を看取るお涙頂戴映画だ。J・A・バヨナは怪物の力を借り、それを少年が本当の想いに目を向ける成長の物語へ変換させてみせる。ママを愛する優しき少年の姿が翳りを帯びる。

 当然怪物の造形は重要だ。何となく「トランスフォーマー」(07年)の樹木ヴァージョンに見えなくもないのは気にかかるものの(とりわけ目や身体の彼方此方が赤く光るあたり)、演じるリーアム・ニーソンの深味のある声と意表を突いた角度からのショットの連発により、若干の恐怖と同時に、不思議と確かに「癒し」を感じさせる。

 ただ、もっと素晴らしいのは怪物が語る物語で、これがアニメーションで表現される。紙細工のような影絵のような色っぽい画で、しかも話に捻りが効いている。善悪の境目や信念を持つ意味等、少年の生活に密着したテーマが浮上。少年の世界が違った表情を見せ始める。尤も、怪物の三つ目の話だけ妙に中途半端だ。

 バヨナは現実的ではない画を並べるからこそ、細部は徹底して現実的かつ魅惑的なもので固める必要があると気づいている。少年の住む家の内装。浮ついたところのない雑貨。少年の部屋に置かれた小物。少年の描く絵の描き味や町の寂し気な風景。人間関係のひりひりした感じ。どれもこれもファンタジーの中で大いに活きる。

 そして、少年が辿り着く物語の結末に胸が締めつけられること。少年の心の解放が切なくて美しくて…。終幕少年が祖父と思しき人物と一緒の写真が映る。それが見間違いでなければ…、また、別の解釈も成り立ちそうなのも面白い。もちろん主演のルイス・マクドゥガルはイイ。大きな耳と長い睫毛に影を感じさせる。フェリシティ・ジョーンズ、シガーニー・ウィーヴァーらと並び、堂々役を生きている。





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