光をくれた人

光をくれた人 “The Light Between Oceans”

監督:デレク・シアンフランス

出演:マイケル・ファスベンダー、アリシア・ヴィキャンデル、
   レイチェル・ワイズ、ブライアン・ブラウン、ジャック・トンプソン、
   カレン・ピストリアス、アンソニー・ヘイズ、エミリー・バークレイ、
   レオン・フォード、ギャリー・マクドナルド

評価:★★★




 第一次世界大戦後のオーストラリアのとある孤島で暮らす灯台守夫妻の物語だ。ある日、島に息絶えた男と元気な赤ん坊を乗せたボートが辿り着く。夫妻は赤ん坊を警察に届けることなく、自分たちの娘として育てることにする。これは罪ですか…?

 …と聞かれたならば、もちろん罪だ。ただし『光をくれた人』は夫妻を糾弾するための物語ではない。罪であることは承知の上、彼らの想いを否定するのではなく、その深さにそっと寄り添う。正論を武器に傷を抱えた人をとっちめることを生き甲斐する輩には決して分からないだろう。夫妻の傍らには本物の哀しみを知るがゆえの愛が潜んでいる。

 ここに説得力をもたらすための長い序章がある。赤ん坊と出会うまでたっぷりじっくり時間が取られている。戦争で心に傷を負った孤独な男と戦争でふたりの兄を亡くした女。本能的な部分で惹かれ合うふたりの間に生まれる幸せと幾度となく訪れる悲劇が周到に描かれる。それを経た上での小さな命を引き取る覚悟だ。

 マイケル・ファスベンダーとアリシア・ヴィキャンデルが素晴らしいケミストリーを見せる。互いへの信頼が何の疑いもなく信じられるふたり。とりわけヴィキャンデルの少女の面影を残した、凛とした眼差しの威力。これが悲劇に打ちのめされ崩れる様。或いは夫に赤ん坊を自分たちの子として育てることを説得するときの感情が高ぶる様。グッと見入る。

 後半はいよいよ生みの母親であるレイチェル・ワイズがせり出してくる。ここが実は弱いポイントで、誰よりも哀れな人のはずなのに時に悪役に見えなくもないのは、三角関係をまとめる演出のバランスを欠くのではないか。何の落ち度もないまま子どもと逸れてしまった生みの母親。その設定に頼り過ぎているのではないか。彼女が見せる慈悲ももうひとつ迫らない(したがって、終幕の展開は腑に落ちないところが多々)。

 孤島の風は強い。常にゴーゴーと唸り声を上げている。緑豊かな自然の残る風景にミスマッチと思いきや、風こそが物語をしかと盛り上げる効果を上げる。夫妻がどんな状況にあっても吹くことをやめない風が、彼らの心に灯る火に強弱をつけている。夫妻は火を消すまいと踏ん張る。風は容赦なく吹きつける。かと思えば、いよいよ火が消えかかるというときには、手助けをする側に回る。夫妻はきっと、昔をも思い出すとき、風のことも胸の内に蘇えらせるのに違いない。





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