ウォー・マシーン 戦争は話術だ!

ウォー・マシーン 戦争は話術だ! “War Machine”

監督:デヴィッド・ミショッド

出演:ブラッド・ピット、アンソニー・ヘイズ、ジョン・マガロ、
   エモリー・コーエン、アンソニー・マイケル・ホール、
   トファー・グレイス、ウィル・ポールター、スクート・マクネイリー、
   ティルダ・スウィントン、ベン・キングスレー、ラッセル・クロウ

評価:★★




 まず最初に目が行くのは、ブラッド・ピットの役作りだろう。ピットが演じるのは、2009年のアフガニスタン、長引く戦争に方をつけるべく派遣される陸軍大将だ。実在の人物をモデルにした役柄とのことで、ひょっとすると本人に似せたのだろうか。強烈な訛りと声質。ペコちゃんのように舌を見せる受け口。左目に較べて小さくウインクしかかった右目。がに股。ダボダボの短パン。走る姿はゴリラ風だ。ピットは大いに喜劇を意識する。

 そう、マイケル・ヘイスティングスによるノンフィクションを基にした『ウォー・マシーン 戦争は話術だ!』は喜劇だ。そして風刺劇だ。それゆえのピットの過剰な作り込みなのだけど、笑わせにかかっていることが見え見えなのは辛い。作戦の指揮を執る人物の滑稽さを見せるがゆえの過剰な装飾。しかし、それはこれがあくまで映画であり、つまりは作り物であることを思い出させるばかりだ。

 主人公のわざとらしさがしかし、やがて機能し始めるから我慢はするものだ。ピットが目指すのは己の栄光だ。アフガニスタン戦争という悲劇的な歴史に自ら決着をつける。現実を見ない能力に長けたピットの暴走が、次第に現代アメリカの異常さを映す鏡に見えてくるのだ。

 アメリカが、ピットが見据えるのは国の再建、そして国の安定だという。そもそも目指すところが曖昧で、しかも米軍のトップでさえ、何が最優先事項で、何を持って勝利とするのか、見えてない可笑しさと恐怖。それゆえ犠牲になるのは、善良な市民だ。つまりこの映画は、アフガニスタン戦争の全体像を知らず知らずの内に差し出している。

 ピットの下についている者たちの愚痴やぼやき。ピットに鋭い質問を投げ掛けるジャーナリスト。選挙の不正により選ばれる大統領。多様な人物を登場させ、なぜ反米勢力は増えるばかりなのか、その構造を突きつける試みは確かに面白い。ただ、いかにも頭で考えた戦争という気配は拭えない。

 戦闘シーンが数えるほどしか出てこないのは意図的なものだろう。ただ、ジャーナリストの視線に集中した物語は、論文を読み上げた風刺劇の域を出ず、肉体が持つ力をもうひとつ引き出せていない。キャラクターが目に焼くのと同様に、エピソードや画が目に焼きつかなければ、創造性に乏しいと言われても仕方がないのではないか。





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