ザ・ディスカバリー

ザ・ディスカバリー “The Discovery”

監督:チャーリー・マクドウェル

出演:ジェイソン・シーゲル、ルーニー・マーラ、
   ロバート・レッドフォード、ジェシー・プレモンス、ライリー・キーオ、
   ロン・カナダ、メアリー・スティーンバージェン

評価:★★




 「肉体が死んでも、意識は身体を抜け出し、新たな次元に向かう」。ロバート・レッドフォードが口にするセリフだ。『ザ・ディスカバリー』の舞台となる近未来では、死後の世界が科学的に立証されているのだ。その立証から2年、400万人が自殺したという。どれだけ多くの人が今の時代に絶望し、やり直したいと思っているか、ということだ。

 そんなやりきれない今という時代でジェイソン・シーゲルとルーニー・マーラが出会う。彼らも過去に色々あったことが暗示され、死を意識し、けれど、いつしか互いを求め合うようになる。こんな不敵な設定を用意しながら、作り手は時代の困難にさほど興味を示さない。いくらでも今を反映させた画は撮ることが可能だろうに、出てくるのはマッド・サイエンティスト率いるカルト風集団の奇妙な実験風景ばかりだ。

 レッドフォードは死後の世界の映像を記録する装置を開発していて、死体を利用した実験を繰り返す。そして、モニターには遂に何かが映る。果たしてこれは本当に死後の世界なのだろうか。その謎への興味には前のめりになるくせに、登場人物の各々の心象風景はほとんど簡単にセリフで説明されるのが退屈だ。いや、実験の説明さえも、単調なだけで、面白い画は出てこない。

 そう、謎に興味を持っていることは明白なのに、それを表現する術を思いつかなかったらしい。代わりに作り手は、陰鬱な空気を追求する。陸から離れた島。荒れる海。青を遮断する空。深刻顔を崩さない人々。悲劇的なエピソード。どんより沈んだ画の羅列だけでドラマのうねりを創り出せると思ったら大間違い。

 ユーモアを完全に排除したシーゲルは精彩に欠けるし、元々神経質な匂いのあるマーラは世界観にハマり過ぎなのがかえって落ち着かない気分を誘う。実はシーゲルと親子であるレッドフォードは、その関係が適当に描写されるため、目が怖い危ないジイサン以上の感想を抱かせない。

 クライマックスには大きな転調がある。遂に映像の正体が明らかになる。この場面で多くの人が連想する名前は「M・ナイト・シャマラン」ではなかろうか。パラレルワールド云々という観念まで飛び出して描かれる真相の先にあるのは、衝撃でも驚きでも意外性でもなく、死後の世界をゲームとしてでしか捉えられない寂しさだ。自殺した400万人も浮かばれない。





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