メッセージ

メッセージ “Arrival”

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ

出演:エイミー・アダムス、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカー、
   マイケル・スタルバーグ、マーク・オブライエン、ツィ・マー

評価:★★★




 ある日、世界中の12地点に、米型と言うか水晶体型と言うか、とにかく450メートルもある宇宙船が現れる。エイミー・アダムス演じる言語学者は、モンタナに現れた船の主と交信する大役を担う。船内に入り、そこに遂に主が現れるまでの緊張感。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は重厚なSF空間と物々しい音楽を武器に、観る者をも船内に引きずり込む。

 正直なところ、宇宙船の造詣はさほど面白くもないし、宇宙人の姿形もどこかで見たようなそれだ。ただ、それでもぐいぐい魅せるのは、音響が非常に丁寧にデザインされていること、そしてエイミー・アダムスの演技のおかげだ。とりわけアダムスの演技は、彼女を取り囲む軍関係者の好戦的な佇まいとは対極にある母性を感じさせるのが良い。

 宇宙人との交信に言語というものがここまで積極的に掘り下げられるのは珍しい。宇宙人が壁に描き出す円形の文字の数々がミステリアスで、少しずつ解明されていくそれらが嘘臭く見えないあたりは、ヴィルヌーヴのお手柄だろう。アダムスと宇宙人は言葉を通して密な関係を作り上げていく。

 交信の過程には、対話というものの価値を忘れた現代社会への警鐘が見え隠れする。相手への理解を忘れ、前のめりに闇雲に動くばかりでは、何らかの決着がついたところで頑丈な足場は出来上がらない。それに本能的にづいているアダムスが真ん中にいることで、安らぎに似た不思議な何かが漂う。彼女のいちばんの理解者になる科学者ジェレミー・レナーの存在も効いてくる。

 ただ、時間の概念についての考察が前面にせり出してくるあたりは、節度良いというよりは踏み込み不足の気配がある。冒頭のアダムスのナレーション「もしも時に流れがなかったら。私たちは時の流れに縛られて生きている」。これはいかなる意味で発せられた言葉なのかを導く展開には哲学的な匂いが立ち込め、ある仕掛けの種明かしにもたつくこともあり、急に学校の授業でも受けているような印象になる。全てを悟ったアダムスの決断も消化不良だ(ただし、言いたいことはよく分かる)。

 それから作品のムードはもっと明るくしても良いのではないか。昨今のヒーロー映画、アクション映画で散見されるシリアス主義・現実主義に倣ったかのよう。宇宙人に懐深く対峙できるヒロインのハートがあるならば、頭でっかちなやりとりだけで終わらせるのは不自然な気すらする。ユーモアの排除が息苦しく感じられ、そればかりかドラマ性まで奪っているように見えるのだ。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

blogram投票ボタン
blogram投票ボタン
人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ