スプリット

スプリット “Split”

監督:M・ナイト・シャマラン

出演:ジェームズ・マカヴォイ、アニヤ・テイラー=ジョイ、
   ベティ・バックリー、ジェシカ・スーラ、
   ヘイリー・ルー・リチャードソン、ブルース・ウィリス

評価:★★★




 「ヴィジット」(15年)がきっかけになったのかどうかは分からないものの、M・ナイト・シャマランが伏線の張り方に重きを置いたストーリー作りから解放されたのは喜ばしいことだ。観客もおそらく、今のシャマランにどんでん返しなど期待していないのではないか。シャマランは、サスペンスを捻り出すことこそ重要だと、ようやく気づいたらしい。

 シャマランは解離性同一性障害に挑む。医学的に正しいのかどうかは別にして、多重人格者と考えれば良いだろう。病を恐怖として見るなどけしからん!…なんてシャマランが見るわけもなく、あくまでシャマランはジェームズ・マカヴォイ演じる多重人格者を怪人として捉えている。正しい選択だ。

 斯くしてマカヴォイはとある場所の地下に三人の少女を拉致・監禁する。その過程でデニス、パトリシア、ヘドウィグ、バリーといった人格が次々露わになる。マカヴォイの演技は意外に控え目な見せ方。もっと分かりやすく大袈裟に攻めることもできただろうに、これはシャマランの指示だろうか。もっと不敵な変化を見せても良いのに…。…と思ったら、終幕に用意される怪演。この場面は視覚効果を使わないで欲しかった。

 当初は怪人の言葉の全てを理解することができないものの、次第にキーワードとなる言葉が頭にこびりつく。例えば「照明」。例えば「ビースト」。何とか地下から抜け出そうとする少女たちにできることは限られていて、それゆえ画が単調になる危険あり。それを切り抜けるチープで幼いアイデアの数々が、いっそこの題材には合っている。「照明」のコントロールを失い、「ビースト」の誕生を焦がれる者たちの不穏な気配が濃厚になる。

 終幕、24番目の人格が誕生してからのテンションが凄まじく、そして可笑しい。マカヴォイはほとんどヒュー・ジャックマンにでもなったようなパフォーマンス。ぎりぎりの現実感が大切にされていた序盤とは違い、いかにもシャマラン的な脱力感を伴う豪快なぶっ飛び方。しかし、迷走していた頃のような気取りがない分、突っ込みながら楽しんで見ていられるのだ。

 囚われの少女の中でも中心になるアニヤ・テイラー=ジョイは離れ目が印象的。彼女の過去の物語がフラッシュバックで挿入されるあたりは、実はクライマックスの伏線だ。ただ、ここまでじっくりトラウマを見せるのであれば、彼女にもまた何かしらの仕掛けがあっても良かったのではないか。何ならマカヴォイとテイラー=ジョイの身体だけが頼りの大勝負があっても良かった。深読みをし過ぎた分、少々肩透かしを食らった感。





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