マンチェスター・バイ・ザ・シー

マンチェスター・バイ・ザ・シー “Manchester by the Sea”

監督:ケネス・ロナーガン

出演:ケイシー・アフレック、ルーカス・ヘッジズ、ミシェル・ウィリアムス、
   カイル・チャンドラー、グレッチェン・モル、ベン・オブライエン、
   テイト・ドノヴァン、スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン、
   C・J・ウィルソン、カーラ・ヘイワード、ヘザー・バーンズ、
   エリカ・マクダーモット、マシュー・ブロデリック、ジョシュ・ハミルトン

評価:★★★




 大抵の映画は鑑賞中に、その「色」が見えてくるものだ。『マンチェスター・バイ・ザ・シー』はその「色」を早々と確定させる。作品全体を「灰色」が覆っているのだ。空や海も町の景色も人の佇まいも灰色に包まれる。そしてケネス・ロナーガンはその灰色との向き合い方に才を滲ませる。

 兄の訃報をきっかけにボストンからマンチェスターに帰郷する主人公の中年男は、どうやら過去にとんでもない悲劇を経験していることが示唆される。…となると、彼がそれをどう乗り越えていくのかに力点を置いた物語を連想してしまうのだけれど、ロナーガンはそこに安易な光を見出さない。言い換えるなら、灰色がずっと灰色のままなのだ。

 16歳の甥の後見人になっても心の距離はなかなか縮まらない。元妻と再会しても傷は癒えないまま。彼に気のある女が出てきても全く無反応。バーに飲みに行けば、アッという間に喧嘩に突入する。そう、ロナーガンは主人公の絶望を晴らすのではなく、絶望に向き合うかどうか、再スタートラインに立つかどうか、そんな頼りないところに光を当てるに留める。

 現実的と言うか、お手軽な癒しや許しは毒になるとでも言いたげと言うか。まあ、誠実に主人公に接していることは間違いない。そして面白いことに、時に冷徹にすら見える視線を通しながら、全然表情を変えない灰色が、灰色のまま、しかし確かに白に近づいているようにも見えてくるのだ。無論、そこに安いエールなど存在しない。

 ケイシー・アフレックの抑えに抑えた(いつも通りの)演技が気分を滅入らせる。心のがらんどうな感じが、かえって胸に突き刺さる。ただ、より感心するのは甥を演じるルーカス・ヘッジズだ。若い肉体から溢れる喪失感。父の死のショックを受け止められているのかいないのか、自分でも分かっていない魂が、未熟でも力強い生命力で叔父の闇の中で必死に光を探る。ヘッジズはそれを若々しく繊細に捉えてみせる。

 作品の目指すべきところがはっきり見えているロナーガンの演出は、時折インテリ臭が鼻につく。わざとぶっきらぼうな回想場面入れ方。不敵に大々的に流れるクラシックミュージック。落ち着いて見えるカメラワークも案外計算が透けて見える。それが妙な冷静さを誘うのが惜しい。「こんな風に物事を見られる」自分に酔っている気配すら感じる場面があるのは、気のせいだろうか。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

blogram投票ボタン
blogram投票ボタン
人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ