バレー・オブ・バイオレンス

バレー・オブ・バイオレンス “In a Valley of Violence”

監督:タイ・ウエスト

出演:イーサン・ホーク、ジョン・トラヴォルタ、タイッサ・ファーミガ、
   ジェームズ・ランソン、カレン・ギラン、トビー・ハス、
   トミー・ノヒリー、ラリー・フェセデン、マイケル・デイヴィス、
   ジェームズ・キャディ、バーン・ゴーマン、ジャンピー

評価:★★★




 19世紀のアメリカ、イーサン・ホーク演じるわけありの草臥れた男が主人公だ。お供として犬を連れていて、これが可愛いの何の。アビーという名のその犬は、男に忠実であることはもちろん、帽子を運んだり薪を見つけてきたり、頭に泡を乗せてお風呂に入ったり、寒くないかと聞かれたら自分で毛布に包まったり…。そりゃもう、犬好きには辛抱堪らん。

 だから、主人公が犬を殺されて激昂するのも当然だ。観客も完璧に主人公に肩入れする。人間を殺すのも嫌なものだけれど、人間を愛する動物を殺すのはそれ以上に嫌な感触を残す。ホークは西部劇版「ジョン・ウィック」(14年)みたいだ。…と言っても、ホークはキアヌ・リーヴスほど「技」を持っているわけではなく、どこか惨めさを感じさせながらの復讐劇となるのがミソだ。

 決闘式に一対一で銃を構えたり、念入りな作戦で奇襲を狙ったり、自然を味方につけたり…などと格好良くはキマらない。ホークは「マグニフィセント・セブン」(16年)で演じた役柄の双子関係のような男を演じていて、彼がせっかく戦場から離れたのに、結局自ら血みどろの現場に足を踏み入れていく皮肉な構図に漂う哀れを愛でる。

 要するに『バレー・オブ・バイオレンス』は今ではほとんど廃れているに等しい西部劇の空気こそを大切にした映画だ。そしてそういう映画は大抵、話はひどくシンプルだ。いや、そればかりかまるで大昔の映画と見紛う古風な画面設計がなされている。これを往年の名作への敬意と見るか単なるイミテーションと見るかは判断が割れるところだろうけれど、犬が殺される場面を除いて嫌な気分が排除されているのは間違いない。

 ジェームズ・ランソン演じる悪役がやたら小者なのが気になるのだけれど(自分を大きく見せるために虚勢を張るタイプ)、その父親役は何とジョン・トラヴォルタだ。クライマックスではホークとランソンが向かい合う間にトラヴォルタが立ち、どちらにも銃を下ろすよう説得する場面がある。この画が妙に可笑しい。どうやって結局をつけるのかと思ったら、そちらはそのまんまで拍子抜けするものの、トラヴォルタは多分この場面を演じたくて小さな役でも出演を引き受けたのではないかと察する。

 それにしても…犬のアビーを途中で退場させてしまったのは本当に惜しい。いやホント、それぐらい芸達者なのだ。ホークとアビーでコンビを組んでシリーズ化しても良いくらいではないか。そう言えば、近年人間と犬がバディになる映画は全然観ていない。そろそろどうか。もちろんその際は、アビーを主演でお願いしたい。ちなみにアビーを演じた犬は、ジャンピー(Jumpy)が本名とのこと。名前まで可愛い。





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