グレートウォール

グレートウォール “The Great Wall”

監督:チャン・イーモウ

出演:マット・デイモン、ジン・ティエン、ペドロ・パスカル、
   ウィレム・デフォー、アンディ・ラウ

評価:★★





 その昔聞いた、万里の長城は宇宙から見えるほど大きいという話はさすがにはったりのようだけれど、『グレートウォール』が仕掛けるはったりはそれ以上に強気だ。万里の長城は実は、60年に一度現れる魔物から民を守るために1700年かけて作られたというのだから。斯くして万里の長城近辺で繰り広げられる人間と魔物の対決。西洋からマット・デイモンも助っ人に登場だ。ワーオ。

 近年ますます映画市場が拡大する中国に狙いを定めたことがあからさまな歴史アクションを手掛けるのは、何とあのチャン・イーモウ。「HERO」(02年)「LOVERS」(04年)を監督した巨匠だから違和感を感じるべきではないのかもしれない。ただ、ここでワイヤー・アクションを基本に置いた繊細かつ大胆なアクションを期待するのは間違いだ。この監督らしさは見事に感じられない。

 やはり視覚効果をこれでもかと投入した魔物の描写が決定的にチープだ。頭部に中国らしい模様が入っているのは好ましいものの、結局エイリアンのばったもんにしか見えないし、しかもそれが人海戦術大好きの中国らしく大量に出てくるのだ。もちろん人間側もたっぷりどっぷり。「ロード・オブ・ザ・リング」(01年)風と見ることも可能だけれど、うん、やっぱり数で勝負の国民性が出ていると見るべきだ。こういうのは画を大味にしてしまうだけだ。魔物を大きなドラゴン一匹程度にしておけば良かったのに。

 そんなわけでチャン監督らしい美学は視覚効果に完全に呑まれているものの、それでもその意地は珍味として数場面で見られる。日本の特撮ヒーロー風にブルーコスチュームのお姉さんたちがバンジージャンプしながら魔物に向かっていく場面。或いは、見るからに危ない即席気球に乗った戦士たちが都を目指す場面。真面目なのに、妙に可笑しい。いや、真面目だから可笑しいのか。

 助っ人役のデイモンは、「レヴェナント:蘇えりし者」(15年)のレオナルド・ディカプリオ並に髪も髭もぼうぼうの状態で現れるため、最初はほとんど判別不能。その後、髭を剃りポニーテイルしてからはちょっと凛々しくなる。ただ、大きな見せ場はほとんどない。弓の名手という設定は活かされることのないまま、あくまで視覚効果が主役のアクションもどきが展開。デイモンは脇役に過ぎないのだ。

 そもそも万里の長城らしさがほとんど感じられない。壁を魔物の大群がよじ登る場面が出てくるぐらいで、あとはどこが舞台でも支障のない展開。中盤になって突如魔物が磁石を苦手にしていることが判明するあたりはバカバカしさを補強。それならばバカ映画として突っ切って欲しい。変に小さくまとまって見えるのは、どこかに気取りが感じられるからだ。金の匂いが芸術性を丸呑みする。そう、魔物よりもよっぽど怖いものは物語の外に転がっているのだ。





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