LION/ライオン 25年目のただいま

LION/ライオン 25年目のただいま “Lion”

監督:ガース・デイヴィス

出演:サニー・パワール、デヴ・パテル、ニコール・キッドマン、
   デヴィッド・ウェンハム、ルーニー・マーラ、アビシェーク・バラト、
   デヴィワン・ラドワ、プリヤンカ・ボース、ディープティ・ナヴァル、
   タニシュタ・チャテルジー、ナワーズッディーン・シッディーキー

評価:★★




 『LION/ライオン 25年目のただいま』の主人公サルーは、1986年インドで迷子になり、紆余曲折を経てオーストラリア夫妻の養子となる。それから25年後、実の母・兄・妹を探し始めた彼は、遂に帰郷を果たす。どうやって?僅かに残る己の記憶と、何とびっくりGoogle Earthを用いたのだという。「Googleスゲー」という何とも味気ない感想で終わりそうだ。

 実際、青年サルーがラップトップと睨めっこする画は大いに物足りない。本人は必死だし、そりゃ手近に強力な武器があるのだから使わない手はない。それは分かるものの、パソコンと映画の相性は、今も昔もやっぱりよろしくないのだ。肉体の動きがあってこそ映画の画面は活気づくものだからだ。現地にいきなり赴いて家族捜し…なんてことは非現実的。でもそちらの方が燃える。映画的なのだ。まあ、実話だし仕方がない。

 それよりも前半、カンドワという町から1,600キロ離れたカルカッタに電車で強制移動、迷子になる少年サルーの姿が目に焼きつく。さすがは大国インド、迷子もスケールが大きい…などと感心している暇はない。幼い目を通して映し出されるインドの過酷な現実が迫りくる。

 貧困、不衛生、多言語社会、不寛容、子どもの労働、仕事不足、窃盗、子どもの売買、待遇の悪い孤児院…。裕福な家庭に貰われたサルーは幸運な方で、実際インドでは年間80,000人もの子どもが行方不明になるらしい。サルーはインドの闇に揉まれ苦しむというところまで行かないにしても、その言いようのない不安をひんやり肌に沁み込ませる。少年サルーに扮したあどけないサニー・パワールの小さな身体が効いている。

 サルーがオーストラリア夫妻に貰われてからは転調と言って良い物語転換が起こる。サルーのアイデンティティー探しと彼を引き取った養父母(とりわけ母親)の愛情がせり出し、涙腺を真正面から刺激する。青年サルー役のデヴ・パテル、母親役のニコール・キッドマンの演技も正確だ。しかしより目に残るのは、それでも25年前の少年サルー、パワールの姿だ。フラッシュバックで時折映る。運命の厳しさ、不可思議さを思わずにはいられない。

 さて、タイトルの「ライオン」の意味は最後の最後に明かされる。これが案外胸を熱くさせない。25年という歳月をあっさり超える現代テクノロジーと、いつの時代も普遍的なものとして存在する人の情が、最後まで溶け合わなかったからか。ライオンの凛々しく逞しい姿が立体的に浮かび上がってこその物語のはずなのに、それよりも作り手は泣かせに懸命に見える。おかしな話だ。





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