ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命

ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命 “Jackie”

監督:パブロ・ラライン

出演:ナタリー・ポートマン、ピーター・サースガード、グレタ・ガーウィグ、
   リチャード・E・グラント、ビリー・クラダップ、ジョン・ハート、
   キャスパー・フリップソン、ジョン・キャロル・リンチ、べス・グラント、
   マックス・カセラ、コーリイ・ジョンソン、エイダン・オヘア、
   ラルフ・ブラウン、デヴィッド・ケイヴス

評価:★★★




 気がつけば、ナタリー・ポートマンも30代半ば。もう若手とは言えない年齢だ。そして実際、ポートマンは老けた。役作りなのだろうか。頬の肉が骨に貼りついたように薄くなり、目の下に疲れが滲み、ほうれい線も目立ってきた。けれど、これが良いのだ。若い頃より色気が感じられるほどに。身体は幼児体型のまま老けが進行中のポートマンは、これまでよりもずっと身体の血の流れを感じさせる。パブロ・ララインはポートマンの変化を見逃さない。

 『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』でポートマンがその身を捧げるのはジャクリーン・ケネディ・オナシスだ。何の説明の必要もない60年代を代表するアイコン。離れ目の印象が強い大統領夫人にポートマンはまるで似てないものの、メイクとボリュームある巻き髪、そして着心地の良さそうな衣装の力を借りて、見事になりきる。登場場面の全てが見せ場。しかもこれは、ありがちなモノマネ演技ではない。

 描くのは夫ジョン・F・ケネディが銃弾に倒れてからの数日に絞られる。ララインの解釈はケネディを伝説的存在にしたのは夫人の力も大きかったというもので、それを証明するかのように綿密なリサーチに裏打ちされた生々しいエピソードが並ぶ。同じく暗殺されたエイブラハム・リンカーンの葬儀にヒントを得て葬送したり、暗殺の実行犯リー・ハーヴェイ・オズワルドが撃たれたことが夫人になかなか知らされなかったり…。夫が受けた非情な出来事を見せつけるためにジャッキーが血塗れになったピンクのスーツを着続ける件も印象的だ。

 そう、ジャッキーは聖女化されない。夫の死に嘆き哀しむ弱い女でもない。志半ばで倒れた夫の存在が瞬く間に忘れさられることのないよう聡明さを発揮、どうすれば彼が伝説になるかを最優先に考える。それをしたたかさを呼ぶことも可能だろうけれど、その根底には夫への信頼と愛情が敷かれていることは間違いない。ポートマンの歪んだ顔がそれを誠実に伝えている。

 それにしても美術と衣装の貢献度はかなり大きい。冷徹な事件の余韻に包まれた数日ゆえに寒々とした空間で固められがちなところなのに、ジャッキーが力を入れたホワイトハウスのリフォームにより揃えられた家具や雑貨、或いは上品でありながら自己主張を恐れないファッションの数々が画面に溢れることで、視覚を大いに刺激する。不謹慎さは感じられず、むしろそれゆえに悲劇が強調される感覚。

 ジャッキーが記者の質問に答える形で進む構成はややまどろっこしく感じられる。ただ、ホワイトハウスの内部を紹介したり、或いは神父へ本音の吐露したり、また或いは銃撃時に何が起こったのかを見せたり…時制を自由に操る手法が絡むことで、不自然さはほとんど消えていく。それに何よりここには、ジャッキーを突き動かすものを見誤らないポートマンの演技がある。いつしか60年代に迷い込んだような錯覚を覚えるくらいだ。





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