パッセンジャー

パッセンジャー “Passengers”

監督:モルテン・ティルドゥム

出演:クリス・プラット、ジェニファー・ローレンス、マイケル・シーン、
   ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシア

評価:★★




 いちばんの見ものは宇宙船アヴァロン号だ。地球から別の惑星を目指す120年の長い航海にあるアヴァロンは、5,000人もの「冬眠」中の人類を乗せている。彼らの目が覚めたとき、何不自由ない生活が送れるよう、至れり尽くせりの設備が整っている。モルテン・ティルドゥムはアヴァロン内部に硬質の美しさを実現する。

 シルヴァーを基調にしたひんやりする色彩。意外なほど曲線が使われるモダンなデザイン。自動で食事や娯楽を提供するハイテク装置。従来の宇宙船のイメージを打ち破る奇抜な外観。未来の匂いにエッジが効いている。ただ、その無機質な感触は、いくら快適な生活が約束されても、どこか味気なく感じられる。

 …のはおそらく狙いなのだろう。というのも、この空間でクリス・プラットとジェニファー・ローレンスが動き回ると、肉体の温もりが実にダイレクトに伝わってくるのだ。どれだけテクノロジーが発達しても、結局は「人間」こそが、生を支配する。いや、しなければならない。だから、この艇の中でたったふたりだけが目覚めてしまった事実に、胸締めつけられる。

 そう、『パッセンジャー』は結局のところ、人間賛歌映画だ。プラットもローレンスもそこのところを理解している。どれだけ冷たい空間に放り込まれても、止めることのできない血の流れを強く意識させる肉体だ。圧倒的な孤独に必死に抗う肉体に説得力を与える。それが彼らの今回の使命なのだろう。

 ティルドゥムは主演ふたりの身体を立体的に見せることに熱心になるあまり、物語を疎かにする。たったふたりだけによるサヴァイヴァルの過酷さを描くはずの物語なのに、危険なミッションに挑む件は終幕だけに限られる。危機的状況が浮上するまでは、ふたりの宇宙生活を見せながらのいちゃこきが中心になる。ラヴストーリーを意識したゆえの結果だろうか。いや、そんなものはサヴァイヴァルの最中に盛り上がれば良いのだ。ただし、プラットとローレンスの相性は悪くない。

 脚本の穴は例えば、ローレンス・フィッシュバーンの使い方に如実だ。アヴァロンの艦長である彼が突如目覚め、そしてまたすぐに退場していく。なぜ彼は偶然にも都合良く目覚めたのか。それはもう、HAL化するアヴァロンに翻弄されるプラットとローレンスに、それをコントロールする権限を与えるためだろう。それがなければ導くことのできない結末だ。「ゼロ・グラビティ」(13年)や「オデッセイ」(15年)、或いは「2001年宇宙への旅」(68年)、はたまた「タイタニック」(97年)。貧弱な脚本は、既視感を覚える場面が並ぶ原因にもなる。アヴァロンと肉体を凝視する目が、宇宙の大きさを見誤ったような印象だ。





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