アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発

アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発 “Experimenter”

監督:マイケル・アルメイダ

出演:ピーター・サースガード、ウィノナ・ライダー、ジム・ガフィガン、
   エドアルド・バレリーニ、ジョン・パラディーノ、
   ケラン・ラッツ、デニス・ヘイスバート、ダニー・A・アベケイザー、
   タリン・マニング、アンソニー・エドワーズ、
   ロリ・シンガー、ジョシュ・ハミルトン、
   アドリアーナ・ランドール、ドニー・ケシュウォーズ、
   ネッド・アイゼンバーグ、ヴォンディ・カーティス=ホール、
   アントン・イェルチン、ジョン・レグイザモ

評価:★★




 ナチスを語る上では避けては通れないアドルフ・アイヒマンの裁判が世界に大きな波紋を投じていた頃、スタンリー・ミルグラムは実験を開始する。「先生」と「学習者」に分かれ、壁を隔てたところにいる「先生」が、「学習者」が問題を間違える度、強力な電流を流す。学習者は心臓を患っているというのに。

 語弊がある言い方をするなら、面白い実験だ。実は学習者は仕込みで、「先生」が良心に背いてまでも、圧力に屈し電流を流し続けるのかを調べる。人は権威に逆らえないという現実を鋭く突く。アイヒマンのような平凡な人間でさえも、簡単に「悪」に染まる。

 社会心理学者であるミルグラムはこの実験と結果により議論を巻き起こす。倫理的に問題がある。詐欺的・不道徳だ。風当たりは強い。『アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発』は実験風景と世間の反応をそのまま映す。今でも論争を呼ぶらしいそれに対するジャッジは、観客に委ねられる。

 …ということなのだけど、作り手がミルグラムの成果を認めているのは明らかで、それが映画的解釈の範囲を窮屈に見せているのは惜しいところ。理路整然、淡々と提示される実験過程を見せられると、これがベストの方法であり、かつそこに浮かぶ人間心理も誰もが認めざるを得ないのではないか(褒めてはいない)。ミルグラム役のピーター・サースガードの落ち着いた演技もそれに加担する。

 実験がミルグラムの人生に与えた影響についてはほとんど伝わらない。ウィノナ・ライダー扮する妻とパーティで出会ってからは、誰よりも頼りになる理解者として彼女がミルグラムの傍にいる。そして、どれだけ批判を受けようと動じる様子はない。立派なものだ。次第に「ミルグラム博士再評価運動」映画に見えてくる。

 60年代から始まる実験風景に妙にムードがある。殺風景な部屋。無駄のない会話。抑制される感情。日本の怪奇アニメーションを思わせるスコア。掴み所のないサースガードといしだあゆみ化激しいライダー。アイヒマンを目撃し、不安感に囚われたあの時代に迷い込んだような気配は、撮影や美術、演技の勝利だろう。





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