しあわせの雨傘

しあわせの雨傘 “Potiche”

監督:フランソワ・オゾン

出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジェラール・ドパルデュー、
   ファブリス・ルキーニ、カリン・ヴィアール、
   ジュディット・ゴドレーシュ、ジェレミー・レニエ、
   エヴリーヌ・ダンドリー、エロディ・フレージュ、セルジ・ロペス

評価:★★★




 それまで家でおとなしく平凡な幸せを噛み締めていた「飾り壷」な主婦が、夫の不在時、仕事を引き継いだことをきっかけに、生き生きと輝いていく様を描く物語。絶頂時のスティーヴン・ソダーバーグが手掛けた「トラフィック」(00年)に出てきたキャサリン・ゼタ=ジョーンズを思い出す。新しい自分の発見が人生を別の角度から輝かせる。ゼタ=ジョーンズの場合は麻薬取り引きだったけれど、カトリーヌ・ドヌーヴの場合は雨傘工場の再建である。圧倒的に惹かれるのは麻薬取り引きではあるものの、まあ、いいじゃないの。だってこの映画の存在価値は、物語にはない。

 では『しあわせの雨傘』の存在価値はどこにあるのか。そりゃもう、カトリーヌ・ドヌーヴを使って映画の遊びをやってのけたところにあることは一目瞭然。何しろ映画の掴みとなるのは、ドヌーヴの真っ赤なジャージ姿なのだ。こんなドヌーヴ、観たことない。これまでのドヌーヴとはちょいと違うぞ。大ヴェテランになったドヌーヴが何かをやってのけるかもしれない。ちょっと可愛いかも。

 ただし、ジャージ姿に気をとられるべきではない。監督はあのフランソワ・オゾンだ。表面通りの受け取り方をするのはつまらない。オゾンがドヌーヴに敬意を表していることは間違いないものの、ドヌーヴの人間性を強調すればするほどに、なんだか昔が懐かしくもなってくる。ウエストの消失があからさまに強調されたどすこい体型。ヘルメット化したブロンド。何か裏を持ってそうな眼差し。野ブタと見紛うジェラール・ドパルデューと共に、へっぽこダンスまで躍らせてしまう。「可愛い」などと幻覚を見ている場合ではないだろう。頭に巻いたスカーフが防災頭巾に見えたところで、ウッと息を呑む。ドヌーヴ、よくぞ引き受けたと感嘆。意図的なのか(おそらく半分は意図的)、オゾンの毒に乾杯。

 オゾン作品の中で最もノリが近いのは「8人の女たち」(02年)ではないかと思うのだ。お世辞にも上手とは言えない歌と踊りを見せる人気女優たちを、ただひたすら眺めるための映画。同じように、ここではドヌーヴだけをずっと眺めていれば良い。彼女を取り囲むものはどれもこれもがファッショナブルで、おフランスのハイセンスがイチイチ炸裂。ジャージだってなんだかカッコイイかもしれない(青ヴァージョンも登場する気合いの入れよう)。インテリアにしても実に芸が細かくて、これを目の保養と言わずに何と言う。工場のロゴマークまで可愛いのにはやられた。大体オゾンは、ジャージのドヌーヴの前に動物が次々姿を見せる導入部の演出からして遊んでいる。小鹿が、小鳥が、リスがドヌーヴを見つめている。ドヌーヴもお調子こいてウインクをカマす。ひぃぃぃ。

 画面の色彩がポップなところも楽しい。「シェルブールの雨傘」(64年)へのオマージュもあるのだろう、雨傘工場内での傘が溢れかえる場面など、色の持つ力を改めて痛感。白や黒が生み出す力も侮れないけれど、明るい色が発散するそれの方に、より惹かれる。目に入ってくるだけで気分が上がってくる。ドヌーヴも明るい色に包まれた方が断然輝いている。





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