ラビング 愛という名前のふたり

ラビング 愛という名前のふたり “Loving”

監督:ジェフ・ニコルズ

出演:ジョエル・エドガートン、ルース・ネッガ、マートン・ソーカス、
   ニック・クロール、テリー・アブニー、アラーノ・ミラー、
   ジョン・ベース、マイケル・シャノン

評価:★★★★




 エンドクレジットが流れる前に一枚の写真が映し出される。LIFE誌に取り上げられたそれは、ソファーに座る妻と彼女の膝枕で横になる夫を捉えたものだ。何気ない写真だけれど、幸せが滲み出ている。ただ、夫が白人、妻が黒人というだけで彼らを受け入れられない人がいた。いや、今もいるのか。『ラビング 愛という名前のふたり』は1958年から約10年に渡る、彼らの戦いを描く。

 異人種間での結婚が違法であるヴァージニア州。それがおかしな話であることはバカでなければ分かることで、だからジェフ・ニコルズ監督はいちいちそれを声高らかに叫びはしない。夫妻も拍子抜けするほどに多くを語らない。声を荒らげないし、泣き叫ぶこともない。ただし、彼らが言わんとすることは、確かに伝わる。

 これは実は、主人公ふたりの顔を眺める映画なのだ。その表情を見れば、大切なことは伝わる画になっている。アイコンタクトでふたりは通じるし、手を重ねたり、膝枕したり、ただ相手の隣に座ったり…ただそれだけで、その尊さが毛穴にじわじわ沁みる。もちろん愛の押しつけなどは一切ない。そう、ニコルズは慎ましい愛の形を見せることで、社会を語る。

 …となると夫妻を演じるジョエル・エドガートンとルース・ネッガに説得力がなければ成立しない。エドガートンもネッガもニコルズの静かな演出に美しく溶け込む。差別主義者の役を充てられてもおかしくない強面のエドガートンの身体からシンプルを極めた純粋な愛が引き出され、道端に咲く名前の分からない花のように控え目なネッガの目から愛だけは譲れないという頑丈な意思が溢れ出る。ふとした日常風景が特別な何かに変わる。

 彼らの純粋な愛の前に、社会の歪みが顕著になる。ニコルズは社会に横たわる理不尽な悪意を、分かりやすく悪役を置くことで浮上させるようなことはしない。夫妻はたったひとりの差別主義者を相手にするのではない。差別主義者を生み出した社会を見据える。重心の低い演出が効いている。

 敢えて難を挙げるなら、物語がステレオタイプという点だろうか。ただ、この美しい愛を湛えた夫妻を描くのに、変に話を捻るのは得策ではないような気もする。エドガートンとネッガは何を話すでもなく、傍にいるだけで詩情を感じさせるからだ。シンプルな愛にはシンプルなストーリー。それで良い。





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