マリアンヌ

マリアンヌ “Allied”

監督:ロバート・ゼメキス

出演:ブラッド・ピット、マリオン・コティヤール、ジャレッド・ハリス、
   サイモン・マクバーニー、リジー・キャプラン、マシュー・グード

評価:★★★




 主人公ふたりが出会うのがカサブランカだからというわけではない。おそらくロバート・ゼメキスは往年の名作メロドラマを蘇らせたかったのだ。命を懸けた任務の最中に恋に落ちた男の女の運命。『マリアンヌ』は、イングリッド・バーグマン映画を今撮ったらどうなるか、そんな問い掛けに果敢に挑む。

 斯くして恥ずかしがることなく、古典的メロドラマ要素てんこ盛りだ。美しい砂漠。朝日が顔を出す地平線。激しい戦争。美しきスパイ。日常に潜む芝居。夜空の下での語らい。緊迫のミッション。燃える交わり。幸せな結婚と空襲下の出産。突如浮上する妻への疑惑。どの場面も画になるのがポイントで、映像派のゼメキスらしく、カメラワークがさり気なく凝っているのが嬉しい。

 もちろんメロドラマには美しいスターが必要不可欠で、妻役のマリオン・コティヤールが美貌も演技も完璧に仕上げている。40年代の美しい衣装に呑まれない存在感。謎めいた佇まいと意志的な眼差し。時代に翻弄されているようにも、自らそれを切り開いているようにも見える。傍らで任務をこなす男との心理的距離感も絶妙に魅せているあたりに、その力量が見える。

 問題はブラッド・ピットだ。コティヤールが完璧ゆえに相対的にそう見えてしまうような気もしつつ、いやいや、聡明さがほとんど感じられないのは辛いところだ。ピットは役柄に説得力を与えられないと、途端にその美貌に疑問符が付くタイプの人で(不器用とも言う)、今回も果たして彼をハンサムと呼んで良いのだろうかと首を傾げる場面が多かった。ゼメキスが念入りに往年の大スター風に撮っているにも拘らず、だ。

 「リバー・ランズ・スルー・イット」(92年)で見せつけたピットの美貌が頂点に達した「ジョー・ブラックによろしく」(98年)以降、その特徴は顕著になる。作品の出来・不出来に左右されるのだ。冴えないときのピットは決まって、鼻の穴が広がり、若干の受け口が目立ち、顔の余白が大きく見える。そしてここでのピットがまさしくそうなのだ。コティヤールに圧倒されて、ただ突っ立っているだけに見える。砂嵐が吹き荒れる中、車の中でセックスする場面は、それでも大いに魅せるけれど…。

 妻はドイツのスパイなのか。後半を引っ張るこの謎には、もっと二転三転する捻り欲しい。愛する人にかけられた疑惑に戸惑う男の心情にポイントを置いてじっくり描きたかったのか。あまりにもそのままな展開では、コティヤールが勿体なく感じられる。夫婦の愛を盛り上げるためにも、更なる周到な描き込みがあってしかるべきだった。





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