ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男

ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男 “Free State of Jones”

監督:ゲイリー・ロス

出演:マシュー・マコノヒー、ググ・バサ=ロー、マハーシャラ・アリ、
   ケリー・ラッセル、クリストファー・ベリー、ジェイコブ・ロフランド、
   ショーン・ブリジャース、ジョー・クレスト

評価:★★




 ニュートン・ナイトの名前は初めて聞く。南北戦争時代、黒人奴隷を率いて南軍と戦った人物だという。ゲイリー・ロスはナイトが戦場での甥の死をきっかけに南軍から脱走、いつしか奴隷たちのリーダーとして先頭に立つ様を切り取る。なるほど、映画映えするヒーローだ。

 ロスが創り上げる南北戦争時代の空間は実に丁寧だ。単純に奴隷解放の是非を問う南北の戦いに非ず、そこには悍ましき人間という生き物の歪みが横たわる。ナイトはそれを察知したがゆえの活動家で、そこに至るまでのナイトの心象は、マシュー・マコノヒーの手堅い演技もあり、すんなり肌に馴染む。

 とりわけ面白いのは、脱走兵として捕らえられるのを避けるため、森深くの沼地に身を潜める件だ。鬱蒼と木々が生い茂り、ぬかるみに足が取られる中、そこで出会った黒人奴隷たちと同志的関係を築き上げていく。マコノヒー、マハーシャラ・アリ、そしてググ・バサ=ローが人間の魂を体現する。

 ナイトが案外淡泊な描かれ方だ。妻子との関係など、意外なほどドライに処理されているし、過剰に黒人たちとベタベタしない。おそらくメロドラマ方向に堕ちることを避けたかったのだろう。悪くない選択だ。

 問題は奴隷解放宣言がなされた後のエピソードだ。そう、ここでは宣言のその後が綴られる。それまでキャラクターを重視して物語が展開されていたのが一転、まるで年表を読み上げるように、事実だけが定点観測されていくのだ。血の通ったリーダーだったナイトが、突如時代の目撃者としての役割しかなさなくなる。実話物の罠にハマってしまったか。

 また、ナイトの何代も後の子孫の物語が挟まれるのは、全く持って余計な演出だ。もちろん人種問題は大きな影を落とす重要部分ではあるものの、それがこの映画の肝ではないはずで、強引な時代の交錯が焦点をぼやけさせる。

 欠点が目立つものの、「白人が黒人を助ける構図」に決してハマらなかったのは、『ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男』の美点だろう。ナイトはリーダーであっても、黒人たちを見下ろしたり引っ張ったりはしない。同じ目の高さ、同じ場所から物事を見て、志を掲げる男だ。作り手が何故今ナイトなのか、それを見誤らなかったがゆえ、歴史の重みはしかと感じられる。





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