未来を花束にして

未来を花束にして “Suffragette”

監督:サラ・ガヴロン

出演:キャリー・マリガン、ヘレナ・ボナム=カーター、メリル・ストリープ、
   ブレンダン・グリーソン、アンヌ=マリー・ダフ、ベン・ウィショー、
   ロモーラ・ガライ、フィンバー・リンチ、ナタリー・プレス、
   サミュエル・ウエスト、ジェフ・ベル、エイドリアン・シラー

評価:★★




 21世紀に入った今でさえ、女性の権利については問題視される。某国の大統領なんてあからさまに差別主義者だ。全く頭が痛いけれど、100年前に較べたらまだマシだ。『未来を花束にして』の舞台は1912年ロンドン。参政権獲得を目指す女たちが描かれる。

 劣悪な仕事環境下に置かれたヒロインを通じて綴られるのは、「何かを変えるためには自ら動かなくてはならない」という至極真っ当なメッセージ。サラ・ガヴロンは彼女の目覚めと躍進を、大変丁寧に織り上げる。「丁寧」などと書くと、良いことのように思えるものの、いやいや、お行儀良過ぎるのも考えもの。優等生映画の枠に押し込んだ息苦しさがある。

 何と言っても物語の構造が、ヒロインを含めた婦人団体と参政権を認めない社会の対立から動きを見せないのがつまらない。進歩的な女たちは参政権を持つことが社会を変える一歩としてとして、考えを譲らない。実際それは正しいわけだけれど、その絶対的自信があるがゆえ、対立する社会を完全なる「悪」としてしか捉えられないのはどうか。

 結果、男たちはどいつもこいつもケツの穴の小さな奴らばかりだ(たったひとりだけ例外あり)。理解のあるふりをするだけで、心の底では女たちを下に見ている。女の敵は女という真理を証明するかのように、団体に所属しない女たちは、闘う女たちを蔑むことに熱心だ。そう描くのであれば、どうしてそういう思考に至るのかを見せないと、嘘だろう。

 演出は他にも、女性参政権論者のリーダーを意味ありげに投入したことをすっかり忘れてしまうし、警察を杓子定規に動かして満足する。クライマックス、有名なダービー事件の主役であるエミリー・デヴィッドソンが前面に出るのは唐突としか言いようがない。そもそも団体の投石したり放火したり爆破したりという行動を聖戦として見るのは無理があるのではないかという疑問も残る(少なくとも作り手は彼女たちの行動に一切批判の目を向けていない)。

 でもまあ前述のように、語り自体は丁寧なので、息苦しいなりに細部を楽しむ余裕はある。キャリー・マリガンがさすがに巧く、その内面の変化を大変頼もしく見せる。セリフ回しがきびきびしているのも気持ちが良い。それに、マリガンが溶け込む当時のイギリスの匂い!TVシリーズ「ダウントン・アビー」(10~15年)とほぼ同じ時代背景ということを思い出すと、余計に感じるものがある。華やかな貴族社会の傍らで命を懸けて戦っていた者たちもいたのだと…。





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