アンダーカバー

アンダーカバー “Imperium”

監督:ダニエル・ラグシス

出演:ダニエル・ラドクリフ、トニ・コレット、トレイシー・レッツ、
   デヴィン・ドルイド、パヴェウ・シャイダ、
   ネスター・カーボネル、サム・トラメル

評価:★★★




 ダニエル・ラドクリフはイライジャ・ウッド式サヴァイヴァルを選んだのだろうか。「ハリー・ポッター」終了後は、意欲的に「普通」を避けた役柄に挑んでいるように見える。ファンタジーの世界にハマる俳優は、一般的美的感覚から少しずれたところにスター性があることが多く、エキセントリックだったり変態的だったり、風変わりな役柄の方がしっくり来るのだ。逆に言うなら、「普通」を演じると限界を感じさせる。

 そんなわけで『アンダーカバー』のラドクリフはネオナチグループに潜入捜査に入るFBI捜査官役だ。頭を丸め、刺青を入れ、目はどことなく病的で…というように、一般人が近づきたくない容姿に近づける。組織に潜り込めば、それに見合った汚い言葉を吐き、暴力に塗れ、時には率先して悪を語る(いや、彼らにしてみれば善なのだけれど…)。ラドクリフは外見から作り込み、しかしそれだけに終わることなく、ネオナチへ潜入捜査中の焦燥を掴まえている。

 実話ベースとのことで、かなり生々しい描写が出てくるのが見ものだ。ネオナチと言ってもグループによって性質が異なり、もちろん個人によっても思想は少しずつ違っている。あからさまに危険な匂いを漂わせる者もいれば、パッと見はごく普通の人にしか見えない者もいる。ラドクリフが相手の心の中にいかに取り入っていくか、見どころのひとつはそこにある。

 組織としてどんな行動を起こすのか。具体的に計画を練る場面もないではないものの、それよりも日常に潜む狂気に見入る。穏やかなパーティ会場でネオナチの子どもたちの口から飛び出す悍ましい言葉。めでたい結婚式の背景にある燃えるハーケンクロイツ。潜入早々、ラドクリフがリーヴァイスの装着を突っ込まれる件がある。リーヴァイスを起業したリーヴァイ・ストラウスはユダヤ系なのだ。

 サスペンスの大半がラドクリフの正体がバレるバレないに終始しているのは食い足りない。ラドクリフによるデリケートな演技のおかげで退屈とは無縁、しっかりスリルも感じられるものの、やや単調になった嫌いはある。ラドクリフが組織の思想に魅入られていく危うさを全く感じさせないのも後半コクが感じられない原因ではないか。

 ネオナチを生む背景には何があるのか。終幕、上司のトニ・コレットからラドクリフは自分が潜入捜査に選ばれた理由を聞かされる。それに説得力を持たせるところに向かって話を転がすことができたなら、もう一段階充実レヴェルを上げることができたはずだ。内面の正義が揺るぎないのは立派でも、柔軟さに欠ける態度が逆にもどかしいのだ。





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