MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間

MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間 “Miles Ahead”

監督・出演:ドン・チードル

出演:ユアン・マクレガー、エマヤツィ・コリネアルディ、
   レイキース・リー・スタンフィールド、マイケル・スタルバーグ、
   ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター

評価:★★




 「ブルーに生まれついて」(15年)に出てきたマイルス・デイヴィスは気難しい男だった。チェット・ベイカーの才能をなかなか認めず、しかし自身のそれには揺るぎない確信を持っている男。そして、それで良い男。生きたまま伝説になった男。『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間』は彼の伝記映画ではない。彼が表舞台から姿を消していた時期に焦点を当てる。おそらくフィクション部分はかなり多いだろう。

 …にも拘らず、さほど既存の伝記映画との違いが見えない。自宅からマスターテープを盗まれ、ローリング・ストーン誌の記者と共にその奪還を目指すという、見ようによってはバディ・アクションの体裁を採りながら、結局他の芸術家を取り上げた伝記映画との違いを見出せない。

 芸術の才能の前に立ち塞がるのはアルコールとドラッグ、そして女。一度極めた頂点から転がり落ちるのは簡単で、しかしどん底からの再起は容易ではない。デイヴィスがテープを取り戻すために銃を握り、車を高速で飛ばし、汚い言葉と暴力に浸かる。その姿がそのまま、ありきたりの風景に映る。

 これは結局、その弱点にポイントを置いてデイヴィスを見ているからなのだろう。どれだけ捻りを効かせようと、目に残るのは素晴らしい音楽を残した姿よりも堕ちる様子の方になる。フラッシュバックで描かれる運命の人、フランシスとの関係がそれを補強する。

 ドン・チードルは演技に徹するべきだったのではないか。発声を変え、所作を変え、外見を本人に近づける。演奏シーンがやはり見もので、性格俳優として鳴らす、その実力を見せつける。ただ、自分を良く見せたいというエゴがほとんどない分、人間味と呼ばれるものに堅苦しさが残った感。演技ではなく演出の問題だ。

 それよりも記者役のユアン・マクレガーに感心する。共演者の演技をクッションのように受け止め、時には吸収する器用さのあるマクレガーは癖の強いチードルのパフォーマンスを大変丁寧に受けている。しかも、自分から必要以上に出しゃばらない。けれど、霞みはしない。俺様なチードルと諦めたように彼に寄り添うマクレガー。その画がいちばん面白くなったのは理由があるのだ。





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