Ricky リッキー

Ricky リッキー “Ricky”

監督:フランソワ・オゾン

出演:アレクサンドラ・ラミー、セルジ・ロペス、メリュジーヌ・マヤンス、
   アルチュール・ペイレ、アンドレ・ウィルム

評価:★★★




 フランソワ・オゾン監督はジャンルに囚われることなく、様々なタイプの映画を撮っている個性的なフランス人監督。そういう意味で同系統になるかもしれないマイケル・ウィンターボトム監督と違うところは、ウィンターボトムが作品毎にガラリと演出タッチを変えてくるのに対して、オゾンはどんな作品でも常にオゾンテイストと言うべき毒を盛り込み、自分の色に染め上げるところ。素材が違うので出来上がりの感触は当然違うのだけれど、そこには確実にオゾンの色が濃く出ている。

 『Ricky リッキー』は家族映画だ。母一人娘一人の家庭にスペイン人男が入り込んできたことから起きる出来事が描かれる。見えてくるのはフランスのブルーカラーの生活であり、そこに潜む社会問題であり、父親のいない関係が生み出す歪み。中でも心が違う方向を向いてしまった家族の肖像が強い印象を残す。地味なテーマではあるものの、これがオゾンの手にかかると、キッチュな味わいを湛えてくるから面白い。

 結婚した男女の間に、リッキーという名の男の子が生まれる。この子がクセモノ。愛らしい目をして笑顔と泣き顔を振り撒きながら、背中に翼を生やして空に浮かんでしまうのだ。一見天使のよう。でもオゾンが生み出す赤ん坊が表面通りの可愛さのままで終わるわけがない。タマげた母親が落ち着きを取り戻し、彼の健康を考えて「翼と体重の比率」について肉屋で調べるのが可笑しい。空飛ぶ赤ん坊の存在がバレて大騒ぎ、マスコミを巻き込んだ展開は、チープ過ぎてやめて欲しかった。

 リッキーを取り巻く細部にオゾン色がふんだんに盛り込まれている。中でも翼の見せ方が、グロテスクなのにグッと見入ってしまう魅力を持っている。天使の羽風ではなくて、もろ鳥の羽。生え始めの頃は鳥肌が強調されていて、それこそ肉屋に並んでいるチキンを連想せずにはいられない。成長してからも妙に生々しくて、何と言うか、どこかの芸人のネタである「鳥人」を思い出してしまう。

 リッキーの翼についての意味については説明されない。ただし、何のために彼が現れたのかは伝わってくる。いや、伝わり過ぎると言い換えた方が良いかもしれない。リッキーはメタファーであり、家族に何かをもたらす触媒になっていることは明らか。このあたり、少々主張が過ぎると思うのだ。意外にキャラクターに対する余白の部分が少なくて、想像力が刺激されないというか。曖昧なままにもっと遊ばせることもできたような気がする。





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