トゥルー・ストーリー

トゥルー・ストーリー “True Story”

監督:ルパート・グールド

出演:ジョナ・ヒル、ジェームズ・フランコ、フェリシティ・ジョーンズ、
   ロバート・ジョン・バーク、グレッチェン・モル、ベティ・ギルピン、
   ジョン・シャリアン、ロバート・スタントン、マリア・ディッツィア

評価:★★★




 作家と容疑者の関係を描いた映画だと、「カポーティ」(05年)が記憶に新しいところ。偶然だろうか、『トゥルー・ストーリー』は「カポーティ」を連想させるところが少なくない。寒々とした風景。静かな構図。共鳴するふたつの魂。ただし、作り手の冷徹な視線という点においては「カポーティ」の方がずっと厳しいものがあり、『トゥルー・ストーリー』は主人公へ共感を覚えやすい方向へ逃げた嫌いがある。

 とは言え、悪くはない。記事のでっち上げが原因で職を失ったThe New York Timesの元記者が、妻子殺しの罪で裁判間近の容疑者が逮捕直前に自分の名を語っていたことを知り、起死回生を狙った取材に乗り出す物語。記者マイケル・フィンケル。容疑者クリスチャン・ロンゴ。ふたりは実在の人物だという。

 面会という名の対面を何度も繰り返すふたりの掛け合いに様々なキーワードが過る。ジャーナリズム。殺人者の闇。アイデンティティー。セカンドチャンス。ロンゴはフィンケルに言う。君は大胆で、声なき人を代弁している。互いの中に自分とどこか似ているものを嗅ぎつけたふたり。出会うべくして出会ったふたりなのか。

 物語を引っ張るのは、ロンゴが本当に妻子を殺害したのかという真相、そして何故ロンゴがフィンケルの名を語ったのかという謎、だ。独占取材を条件にロンゴはフィンケルに約束を取りつける。裁判が終わるまでは秘密にしていて欲しい。フィンケル役のジョナ・ヒルとロンゴ役のジェームズ・フランコが喜劇映画とは異なるケミストリーで魅せることもあり、ふたりの関係が揺れる様、なかなか見応えがある。

 失速が始まるのは、裁判が始まり、ロンゴが被害者四人の内、二人の殺害を認める件だ。ロンゴは「真実が真実に見えないときもある」という意味深な言葉を口にし、何かを感じ取ったフィンケルの妻(フェリシティ・ジョーンズが手堅い)がロンゴに接近する。そうして裁判は決着するのだけれど、消化不良の感が拭えない。

 前述の物語を牽引する興味に対する答えは曖昧にぼかされ、作り手の解釈、或いは観客の解釈の入る余地のない、事実そのままが描かれる。おそらく原作となったフィンケルの著書をなぞっただけなのだ。事実に縛られたのだ。当たり障りのない安全な着地点で胡坐をかいている。詰めの甘い取材力と大胆さを欠く想像力。フィンケルが職を失った理由、同じそれに映画が足をすくわれている。





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