聖杯たちの騎士

聖杯たちの騎士 “Knight of Cups”

監督:テレンス・マリック

出演:クリスチャン・ベール、ケイト・ブランシェット、ナタリー・ポートマン、
   イザベル・ルーカス、テリーサ・パーマー、フリーダ・ピント、
   イモジェン・プーツ、ブライアン・デネヒー、ウェス・ベントレー、
   アントニオ・バンデラス、ジェイソン・クラーク、デイン・デハーン、
   ジョエル・キナマン、ジョー・マンガニエロ、マイケル・ウィンコット

声の出演:ベン・キングスレー

評価:★★




 まあ、これまでもテレンス・マリックは決して分かりやすい映像作家ではなかった。ただ、「シン・レッド・ライン」(98年)「ニュー・ワールド」(05年)あたりには観念的な作りの中に、この世界で悶え苦しむ人間というイキモノの魂の存在がくっきり感じられたものだ。『聖杯たちの騎士』はどうだ。何と言うか、この言葉しか思い浮かばぬ。お手上げ、だ。

 クリスチャン・ベール演じる主人公は「長い間、見知らぬ人の人生を歩んできた」人物らしい。職業は脚本家で、金はある。容姿にも恵まれている。享楽的な生活を送るのは、過去に弟が自殺した影響か。父親との関係はよろしくない。主人公が置かれている状況の把握、それ以外が筋から見えてこないのは、マリックに選ばれなかった観る側の問題なのか。

 モテ男のベールの下には女たちが次々寄ってくる。イモジェン・プーツやテリーサ・パーマーのような若者も、ナタリー・ポートマンのような中年も、ケイト・ブランシェット級の年増も…。彼女たちとの掛け合いを通して愛や人生の意味を解き明かす…ということらしいのだけれど、辛気臭く、自分に酔っているだけにしか見えない・感じ取れないのが辛い。無理矢理分かろうとしても、それすら許してくれない。

 分からなくても面白い映画というのはあるもので、最近で言うならレオス・カラックス監督の「ホーリー・モーターズ」(12年)がそれに当たる。ひとりの男が別の人間に次々変態するという、筋だけ追うなら不可解な映画。それでもそこには「人は誰しも仮面を被り、幾通りもの人生を歩んでいる」ことが、カラックスによる芸術論と共に、強く刻印されていたではないか。マリック映画は幾通りもの解釈が可能な不可解さそのものを愛しているように見える。自由なようで、頭でっかちだ。

 この事態をどう捉えるべきか。マリックの暴走だと簡単に片づけるのは暴力的な気もする。マリックのこと、凡人には感じられない、壮大なる何かが隠されているのではないか。そう考えてしまうのは、エマニュエル・ルベツキによる撮影に中毒性があるからか。

 今回のルベツキは、人物にかなり近い位置まで接近している。地面に近いところから見上げるように撮ったショットや、鍵穴を覗き込むようなショットも目立つ。マリックはその素材に絵の具を重ね塗りするようなリズムを与える。絵の上に絵がせっかちに重なっていくような、独特の鼓動。わけが分からないまま、しかし差し出される絵は確かに心地良いのだ。





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