BEST 2016

2016年 BEST10


1. ブルックリン “Brooklyn”
 監督:ジョン・クローリー
 出演:シアーシャ・ローナン、エモリー・コーエン、ドーナル・グリーソン
 ふたつの国、ふたりの男の間で板挟みになるヒロインを最高に輝かせる色彩や構図。彼女の変化、その豊かさに唸る。

2. エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に “Everybody Wants Some!!”
 監督:リチャード・リンクレイター
 出演:ブレイク・ジェナー、ゾーイ・ドゥイッチ、グレン・パウエル
 くだらないバカ騒ぎが抱える、生きていくための大切な宝石が見逃されない。自分が自分でいる尊さよ。だから、泣ける。

3. キャロル “Carol”
 監督:トッド・ヘインズ
 出演:ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ、サラ・ポールソン
 匂いと体温を掴まえるために選ばれる細やかな撮影。少しずつ揺れ動く女ふたりの距離感に宿るサスペンスに魅せられる。

4. ジャングル・ブック “The Jungle Book”
 監督:ジョン・ファヴロー
 出演:ニール・セティ、ビル・マーレイ、ベン・キングスレー、イドリス・エルバ
 CGで作られたジャングルにモーグリの肉体が決して埋もれない。弱肉強食の図式が忘れられる水飲み場に魂を見る。

5. ドント・ブリーズ “Don't Breathe”
 監督:フェデ・アルヴァレス
 出演:ジェーン・レヴィ、ディラン・ミネット、ダニエル・ソヴァット、スティーヴン・ラング
 とんでもジジイと獰猛な愛犬のコンビネーションが最高。「ジジイ vs. 若者」の構図の揺らし方も適切。デトロイトの匂いも…。

6. ザ・ギフト “The Gift”
 監督・出演:ジョエル・エドガートン
 出演:ジェイソン・ベイトマン、レベッカ・ホール
 人がいかに偏見に寄り掛かって物事を見ているかを突きつける繊細な語り。夫婦に対する見方がどんどん変わっていく恐怖。

7. 人生は小説よりも奇なり “Love Is Strange”
 監督:アイラ・サックス
 出演:ジョン・リスゴー、アルフレッド・モリーナ、マリサ・トメイ
 ただ一緒にいること、ただ愛する人が傍にいることの尊さ。カンヴァスに絵の具を落とすように街角に色をつける慎ましさに惚れる。

8. ハドソン川の奇跡 “Sully”
 監督:クリント・イーストウッド
 出演:トム・ハンクス、アーロン・エッカート、ローラ・リニー
 優しさと誠実さに裏打ちされた厳しい人間観を持つ人だからこその人間賛歌。自分が人であることを誇らしく思える。

9. COP CAR/コップ・カー “Cop Car”
 監督:ジョン・ワッツ
 出演:ケヴィン・ベーコン、ジェームズ・フリードソン=ジャクソン、ヘイズ・ウェルフォード
 詩情を漂わせる田舎町。滑稽味から逃れられない人々。気長で大らか、愛嬌たっぷりの技に彩られた、これぞ正しきB級映画。

10. デッドプール “Deadpool”
 監督:ティム・ミラー
 出演:ライアン・レイノルズ、モリーナ・バッカリン、エド・スクライン
 理想や正義に雁字搦めになることのないヒーローのアクションが、純情なくせにどこまでもふざけた個性に綺麗に溶ける快感!

次点. アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 “Eye in the Sky”
 監督:ギャヴィン・フッド
 出演:ヘレン・ミレン、アラン・リックマン、アーロン・ポール
 ドローンによる攻撃、ボタンひとつを押すのに次々浮上する葛藤に寄せる恐怖と信頼。今そこにある危機に果敢に立ち向かう。



■その他のBEST10選考作品
『ヘイトフル・エイト』『ブリッジ・オブ・スパイ』『オデッセイ』『スポットライト 世紀のスクープ』『グランドフィナーレ』『レヴェナント:蘇えりし者』『さざなみ』『ヘイル、シーザー!』『ロイヤル・ナイト英国王女の秘密の外出』『エクス・マキナ』『レジェンド 狂気の美学』『シング・ストリート 未来へのうた』『ロスト・バケーション』



◆BEST ACTOR
 ジェイソン・ベイトマン(ザ・ギフト)
 ブライアン・クランストン(トランボ ハリウッドに最も嫌われた男)
 マイケル・ケイン(グランドフィナーレ)
★トム・ハーディ(レジェンド 狂気の美学)
 マティアス・スーナールツ(胸騒ぎのシチリア)

 ハーディの快進撃が止まらない。作品毎にガラリと外見の印象を変える俳優は少なくないが、ハーディは外見はそのままに役柄の違いをさり気ない仕草で表現する。『レジェンド狂気の美学』では双子役という、見世物ショーに終わる危険のある設定を難なく切り抜け、兄弟のカリスマ性の違いを愉快に華やかに浮上させていた。未公開作『クライム・ヒート』での妙演もお忘れなく。


◆BEST ACTRESS
 エミリー・ブラント(ガール・オン・ザ・トレイン)
 エミリア・クラーク(世界一キライなあなたに)
 サラ・ガドン(ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出)
 ブレイク・ライヴリー(ロスト・バケーション)
★シアーシャ・ローナン(ブルックリン)

 幸運な俳優は役に出合うことがある。ローナンは『ブルックリン』のヒロインを演じるために生まれてきたかのように、それほど美しく役柄に溶け込んでいた。永遠性を具えた透明感。頑丈な下半身。滲み出る生活感。何より20歳を迎えるかどうかという今この時期に作品に合う、それは奇跡に近いことなのではないか。しかも彼女にはスター性もある。作品が輝き、役柄が輝き、そして彼女自身も輝く。月の光のように。


◆BEST SUPPORTING ACTOR
 アダム・ドライヴァー(ヤング・アダルト・ニューヨーク)
 ジョン・グッドマン(10 クローバーフィールド・レーン)
★クリス・ヘムズワース(ゴーストバスターズ)
 ジャック・レイナー(シング・ストリート 未来へのうた)
 マーク・ライランス(ブリッジ・オブ・スパイ)

 「オースティン・パワーズ」や「ズーランダー」の例を挙げるまでもなく、バカを魅力的に見せるのは案外難しいことだ。計算が透けて見えた途端に野暮ったく見えて仕方なくなる。ところが、ここでのヘムズワースはどうだ。本当に天真爛漫な天然マッチョバカそのものではないか。大観衆を相手にダンスの指導をする場面で炸裂するバカ(そして、恐ろしいことに可愛らしくもある!)に、役者ヘムズワースの器の大きさを強引に見る!


◆BEST SUPPORTING ACTRESS
 ダイアン・レイン(トランボ ハリウッドに最も嫌われた男)
 ジェニファー・ジェイソン・リー(ヘイトフル・エイト)
 ケイト・マッキノン(ゴーストバスターズ)
★マーゴット・ロビー(スーサイド・スクワッド)
 アリシア・ヴィキャンデル(リリーのすべて)

 『スーサイド・スクワッド』はつまらなかった。悪党と言いながらハートを前面にアピールすると男たちがカッコ悪いの何の。しかし、そんな中でもハーレイ・クインは輝いた。白塗りの肌に、目からは涙メイク。唇は真っ赤で、ツインテールの先はピンクとブルー。ダメージシャツとデンジャラスなホットパンツを装着し、振り回すのはバット。囁くのは道徳観念の欠けた言葉とジョーカーへの愛。ロビー、パーフェクト!


◆BEST BREAKTHROUGH ACTOR
 エモリー・コーエン(ブルックリン)
★オールデン・エアエンライク(ヘイル、シーザー!)
 フェルディア・ウォルシュ=ピーロ(シング・ストリート 未来へのうた)

 出てきたときから何かが違うと感じさせる逸材はいるものだ。例えばレオナルド・ディカプリオ、或いはヒース・レジャー。エアエンライクも纏う空気が同世代の俳優と較べて全く違う。繊細でユーモラスで、かつスケールが大きい。大器と見る。


◆BEST BREAKTHROUGH ACTRESS
 ヘイリー・ベネット(ガール・オン・ザ・トレイン)
 オリヴィア・クック(ぼくとアールと彼女のさよなら)
★ベル・パウリー(ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出)

 ドラマティックな演技ができるのももちろん素晴らしいことだ。けれど、個人的により惹かれるのはコメディというものを分かっている人の演技だ。パウリーが喜劇空間で作り出す独特の空気には抗えないものがある。『ミニー・ゲッツの秘密』でも好演。



【2016年BEST10をふりかえって】
 「メロドラマ」という言葉は誤解されがちだけれど、本当に優れたメロドラマは面白いもの。『ブルックリン』はそれを思い出させてくれる映画だ。簡単に言ってしまえば、ふたつの国、ふたりの男の間で揺れる未熟な女の成長ストーリーで、それ自体に新味はない。しかし、それを装飾するあの手この手の豊かな映画の技の数々が、ヒロインの変化を素晴らしくヴィヴィッドに伝えるのだ。その他、2016年は小品が健闘した印象。





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