ファング一家の奇想天外な秘密

ファング一家の奇想天外な秘密 “The Family Fang”

監督・出演:ジェイソン・ベイトマン

出演:ニコール・キッドマン、クリストファー・ウォーケン、
   ジェイソン・バトラー・ハーナー、キャスリン・ハーン、
   メアリーアン・プランケット、マッケンジー・ブルック・スミス、
   ジャック・マッカーシー、テイラー・ローズ、カイル・ドネリー

評価:★★★




 ジェイソン・ベイトマンは家族というものに対して、何か複雑な思い入れでもあるのだろうか。子役出身だからその可能性も低くないか。「バッドガイ 反抗期の中年男」(13年)同様、『ファング一家の奇想天外な秘密』は家族というものが抱える幻想と現実を鋭く抉って見せる。

 ニコール・キッドマンとベイトマンが演じるのは、前衛芸術家を両親に持つ姉弟だ。ここで言う前衛芸術とは、街中で突然即興劇を始めて、人々から多種多様な反応を引き出すというもの。子どもによる銀行強盗。親殺しの歌。近親相姦的「ロミオとジュリエット」。悪趣味を極めるそれらを「家族」でやってのけ、確かにある一定の反応は獲得するものの、「家族」自体はバラバラになっている…というのが今の状態だ。

 機能不全の家族の話なのだろうか。確かにそう見える。両親が大量の血を残して失踪したことをきっかけに、姉弟は家族を見つめ直すことになる。ただ、手の込んだ仕掛けを次々に仕掛ける両親のやり口を眺めていると、機能不全に見せかけた家族の物語にも見えてくるところが面白い。芸術のために、家族は簡単に犠牲になる。

 メディアの発達と共に表現の幅は格段に広くなった。そういう状況下での芸術への考察も散りばめられる。手段が増える一方、それゆえ切り口が散漫になるという、おかしな状況下にある芸術シーン。芸術家にとっては難しい時代なのかもしれない。それに打ち克つための両親の「暴走」には、どこまでが芸術なのかという答えの出ないテーマが見え隠れする。

 ベイトマンは悲しい方向に転がり落ちていく家族をジャッジするようなことはしない。それぞれの言い分を取り上げ、それらが衝突することで生じる新たなる不協和音を丁寧に回収していく。惜しむらくは前作で隅々まで感じられた毒の気配が大いに薄まり、代わりに洗練を獲得してしまったことか。話運びが滑らかになった分、歪な面白さが弱まり、時に作為が煩く感じられる。

 それでも「人は変われない」という諦念の匂いは相変わらずだ。ただし、悲観的なわけではない。人間の寂しい部分を知るがゆえに悟ることができる、「何かを変えられる」という真理がそれに付随する。キッドマンとベイトマンが手にする結末は確かに残酷であるものの、それゆえ開ける未来もあることが静かに語られる。人生に誠実ということではないか。





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