誰のせいでもない

誰のせいでもない “Every Thing Will Be Fine”

監督:ヴィム・ヴェンダース

出演:ジェームズ・フランコ、シャルロット・ゲンズブール、
   マリ・ジョゼ=クローズ、レイチェル・マクアダムス、
   ロバート・ネイラー、パトリック・ボーショー、
   ピーター・ストーメア、ジュリア・セーラ・ストーン、ジャック・フルトン

評価:★★




 ジェームズ・フランコが目を覚ます掘っ建て小屋は、深く雪の積もった上に建つ。冒頭のこの場面からラストカットに至るまで、ずっと目に残り続けるのが、画の美しさだ。一つひとつの色がくっきり鮮明で、それを包み込む光が、何ともまあ、柔らかい。静寂の中に響く音も丁寧に捕まえられる。とりわけ光のイメージが強い。

 ヴィム・ヴェンダースが画に力を入れていることは間違いないものの、それが『誰のせいでもない』の物語で上手く機能しているかというと、疑わしい。大雪の日に起こったある不幸な事件の関係者の数十年に渡る物語。どうも映像で見え過ぎてしまって、かえって頭でっかちに感じられるのだ。

 事故を起こす作家。その恋人。被害者の母と生き残った幼い兄。新たに出会う編集者。彼らの得意技は眉間にシワを寄せて苦悩することで、深く苦しんでいることは分かるものの、その苦悩が美しい画の中で記号に見えるのが不幸。雪や霧の中にぼんやり浮かび、そこでもがくからこそ伝わるものが、鮮明な画の煽りを受けて一面的に留まる皮肉。

 苦悩の割りに物分かりの良い人物たちで、特にシャルロット・ゲンズブールが演じる母親の心理はあまりに一本調子ではないか。理解を超えた懐の深さ。共感は欲しくないし、過剰にメソメソするのは嫌だけれど、そこに至るまでの道筋が、画に誤魔化されている。

 それならばその息子の言動の方が面白い。事件当日、一言も喋ることなく肩車をされていた少年が16歳にまで成長。不可解な動きを見せる。演出がストーカースリラーめくのは苦笑するものの、その複雑怪奇は動きは見ものだ。彼とフランコの関係に絞った話にしても良かったのではないか。

 ヴェンダースは元々画で話を語る人。このところドキュメンタリーでは生き生きとしているのに、物語を語ろうとすると観念的な方向に振り切れるのが気にかかる。ここでも自己陶酔の水に浸かって満足している気配が拭えない。





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