ミス・シェパードをお手本に

ミス・シェパードをお手本に “The Lady in the Van”

監督:ニコラス・ハイトナー

出演:マギー・スミス、アレックス・ジェニングス、ジム・ブロードベント、
   フランシス・デ・ラ・トゥーア、ロジャー・アラム、デボラ・フィンドレイ、
   クレア・ハモンド、クレア・フォイ

評価:★★★




 最近のマギー・スミスは毒舌や高飛車がやたら似合う。「ダウントン・アビー 華麗なる英国貴族の館」(10~15年)や「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」(12年)が分かりやすい。『ミス・シェパードをお手本に』でも口から出てくるものには黒いものがたっぷり混じっている。それなのに嫌な感じを受けないのが楽しいところで、むしろその棘混じりの言葉の海にずっと浸かっていたい。

 高飛車スミスはしかも今回、ホームレスとして登場する。いや、実際は寝泊まりするヴァンは持っているからホームレスとは違うのか。とにかく車を寝床にロンドン、カムデンの町で勝手気ままに生きる。そのスミスに庭を駐車場として提供するのが劇作家で紳士のアレックス・ジェニングス。物語はスミスとジェニングスの交流を中心に展開する。

 …と言っても、ベタベタとは無縁なのが有り難い。場所は借りるけれど世話になるつもりはないよ!…というスミスの態度はもちろんあるけれど、ジェニングスがたっぷりの距離感を優雅に保つところが大きい。劇作家らしく冷静な観察眼で、スミスとの間に絶妙の磁力を作り出す。まあ、気がつけばいつもスミスのペースになってしまう。でもそれが楽しい。

 スミスがまとう「自由」の空気、それを捉えることに成功しているがゆえの心地良さなのだろう。トイレは自由ではないし、風呂にも入れない。自分が同じ暮らしをしろと言われたら、御免蒙りたい。けれど、臭ってくるその生活の中に、確かに自由の気配がある。しかもインテリが頭でっかちに作り上げがちなそれではない。

 舞台臭さが残ることの多いニコラス・ハイトナーの演出ではあるものの、題材に触発されたかのように、ユーモアと柔軟さが感じられて悪くない。町の風景。作家の分裂。ヴァンの表情。町の住人たちの慎ましさ。堅苦しくないのが良い。

 実話とのことで、ヒロインの過去の出来事がやや弱いのは残念。彼女がどうしてヴァン暮らしになったのか。フランス語が堪能で音楽に過敏に反応するのはなぜか。謎解きの要素はもっと膨らませられたのではないか。あと、時間の流れはもっと感じたかった。





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