人生万歳!

人生万歳! “Whatever Works”

監督:ウッディ・アレン

出演:ラリー・デヴィッド、エヴァン・レイチェル・ウッド、
   パトリシア・クラークソン、ヘンリー・カヴィル、エド・ベグリー・ジュニア、
   マイケル・マッキーン、コンリース・ヒル、ジョン・ギャラガー・ジュニア、
   ジェシカ・ヘクト、キャロリン・マコーミック、
   クリストファー・エヴァン・ウェルチ、オレク・クルパ

出演:★★★




 いきなり宗教について語り出す『人生万歳!』の主人公に面食らう。ニューヨークを舞台にした大抵のウッディ・アレン映画がそうであるように、彼はアレンの分身のような存在だ。人生を斜に構えて見ていて、「他人を傷つけなければ、人生は何でもあり」と公言、それが軸となって物語が展開していく。

 最近はかつてならアレンが演じていただろう役柄を別の役者が演じる機会が多い。ここでも主人公はアレンではなくラリー・デヴィッドが演じているのだけれど、最初とっつきにくさを感じてしまった。アレンよりも随分と骨が太く我も強いところがあって、皮肉や辛辣さがきつ過ぎて軽やかさが足りないように思ったのだ。ところが、登場人物が増えてくるに連れて、これがピッタリに思えてくるから、さすがの配役と言うべきか。

 アレン映画では男たちが女たちに振り回されるのが常だ。「地球は女で回ってる」(97年)というそのままズバリのタイトルの映画もあったくらい。この映画ではジイサンのデヴィッドをまだ21歳のエヴァン・レイチェル・ウッドが、無意識に翻弄してしまうのがとても楽しい。デヴィッドから次々と投げ掛けられる辛辣な言葉を、まるでスポンジのようなウッドがどんどん吸い込んでしまうのだ。知恵や常識の足りないところのあったウッドが、いつのまにか知識を蓄積、鍛え上げられていく。デヴィッドは言葉を投げても投げてもそれが跳ね返ってこないため、いつの間にかふたりでいると彼女のペースになってしまう。遂には結婚してしまうくらいに!10年前ならアリシア・シルヴァーストーンが似合いそうな役柄を、ウッドが天真爛漫さを前面に押し出す好演により魅せる。

 このままデヴィッドとウッドの掛け合いだけで押し切らないのが正解だ。単純なロマンティック・コメディで終わらせることなく、アレンはせかせかと爆弾を投下する。ウッドの母と父を順番に登場させて、笑いに捻りを効かせていくのだ。中でも母親役のパトリシア・クラークソンが痛快。デヴィッドからの笑いの返し方が、ウッドが吸収型なら、クラークソンは跳ね返し型。ただし、跳ね返す方向の予測がまるでつかないために、画面に思いがけない抑揚がついてくる。その上「人生は何でもあり」という主張までもが、意外なところから浮かび上がる仕掛け。他にもウッドとヘンリー・カヴィルとの初々しいカップルぶりも可愛らしくて気に入った(ラヴシーンで途端に、作中唯一のズームアップになるのが面白い)。

 終幕の流れは女たちが洞察力を自分のものにしたがゆえのもので、ちゃんとアレンらしい味があるのだけれど、これまでのニューヨーク映画に比べると、あっさりした切り上げのようにも感じられる。何と言うか、アレンが人生を悟り切ってしまったような、一抹の寂しさが漂っている気がする。何が起こるのか分からない人生の結末を達観してしまったような…。これを正しく枯れたと見るべきかどうか。もっとやんちゃに遊んで欲しいのだけれど…。





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