二重逃亡

二重逃亡 “Term Life”

監督:ピーター・ビリングスレイ

出演:ヴィンス・ヴォーン、ヘイリー・スタインフェルド、ビル・パクストン、
   ジョナサン・バンクス、マイク・エップス、ジョルディ・モリャ、
   シェー・ウィガム、ジョン・ファヴロー、ウィリアム・レヴィ、
   タラジ・P・ヘンソン、アナベス・ギッシュ、テレンス・ハワード

評価:★★




 真っ先に目が行くのは、ヴィンス・ヴォーンが前髪を下ろしていることだ。ずっとデンジャラスな額を全開にした髪型で通していたのに、どんな心境の変化があったのか。そう言えば、大分痩せて顔が締まって見えなくもない。ふと思い出す。20年前のヴォーンは、こんな兄貴がいたらイイなぁと思わせるほどに格好良く、キラキラ見えたものだ。『二重逃亡』ではあの頃のようなヴォーンに会えるのだろうか。

 …という期待は案外早くに萎む。高身長のヴォーンはちょっと痩せたぐらいでは身体に軽快感が出るわけがなく、アクションが少なくない物語の中では、その重量感がスピード感を殺すことに繋がるのだ。テレンス・ハワードと追いかけっこする場面を思い出すと良い。命が懸かった全力疾走があるべきなのに、ヴォーンの身体の重いこと。近所のガキンチョの方が速く走るのではないか。

 ヴォーンが演じるのは犯罪計画を売ることを生業にしている小悪党だ。彼は持ち前の観察力を利用し、何が最適かを判断する能力に長けている。…ということらしいのだけれど、残念、これまた生温い印象が拭えない。冒頭椅子に座らされ監禁される場面や娘と一緒にアパートから脱出する場面。紙コップの水や机の上の車の鍵や財布、警報機といったものが意味深に撮られながら、結局実行されるのは素人でも簡単に思いつきそうな脱出法に留まる。

 犯罪劇としてはどうしようもない。だからもうひとつの呼び物である、父と娘のぎこちない掛け合いを眺めるに限る。ヴォーンの娘に扮するのはヘイリー・スタインフェルド。疎遠だったふたりが事件をきっかけに急接近、反発し合いながら距離を縮めていくという定番の展開が微笑ましいのは、肥えても痩せてもスターなヴォーンと上昇気流に乗るスタインフェルドの華によるところが大きい。いや、全然父娘には見えないんだけど。言ってしまうなら、援助交際中のふたりに見えるんだけど、まあ、それもいとをかし。

 ヴォーンとスタインフェルドが見せるのはズバリ「愉快な潜伏生活」というヤツで、人目を忍んでいる空気は一切なく、勝手気ままにほとんど初めての父娘ライフを満喫する。ギターをプレゼントするわ、遊園地で大はしゃぎするわ、アイスを頬張ってご機嫌だわ、バスルームで気まずい空気になるわ。年頃の娘と愛娘をどうしたら良いのか分からない父親。これは永遠のテーマなのだ。良く分からないけど。

 ヴォーンとスタインフェルドの相性は悪くはない。だったらいっそのこと、犯罪劇の部分を全てカットして、完全なるファミリーコメディにしても良かった。現在のところすくすく成長しているスタインフェルドは、ヴォーンが繰り出すユーモア交じりのセリフを楽しげに受け止めている。おそらく素の部分がちらついている。父娘が無理なら歳の差詐欺師カップルでどうだ。「スティング」(73年)風の喜劇が作れそうな気がする。





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