マダム・メドラー おせっかいは幸せの始まり

マダム・メドラー おせっかいは幸せの始まり “The Meddler”

監督:ローリーン・スカファリア

出演:スーザン・サランドン、ローズ・バーン、J・K・シモンズ、
   ルーシー・パンチ、ジェイソン・リッター、ランダル・パーク、
   ケイシー・ウィルソン、マイケル・マッキーン、ビリー・マグヌッセン

評価:★★★




 夫を亡くして一年経つニュージャージー在住のマーニーは、脚本家の娘ロリの住むロサンゼルスに越してくる。社交的な彼女はそこで、娘の友人たちを始めとする周囲の人間の心を次々掴んでいく。その方法がiPadを贈るだとか、結婚費用を出してあげるだとか、夜間学校へ向かう際の足になるだとか、…とにかく、たっぷり持ち合わせている金と時間と善意を気前良く使うというもの。しかも、踏み込むべきではない他人の領域に入り込むこともしばしばだ。はっきり言って、アッという間に嫌われる要素を具えた人物。

 それにも拘らず彼女は魅力的なのが不思議だ。スーザン・サランドンの功績だろう。シワを伸ばしたようで肌には張りがあり、腰回りはだぶついてもスラリとした全体像。背筋がまっすぐ伸び、物言いはハキハキ。ほとんどお節介な振る舞いになっても、そこには媚や甘えはまるでなく、それどころか場の盛り上げ役として大変節度あるペースを作り出すことのできる人。一線を僅かに超える。しかし、その超えた分を華にできる人。サランドンはマーニーの人物像に厚みを加えていく。

 だから、彼女が赤の他人でしかなかった人々の中にどんどん入り込んでいく様を見るのは本当に楽しい。人種の違いも年齢差もものともせず、瞬く間に場に活気をつける。唯一ロリだけはそんな母の言動を疎ましく思っているものの、それが後々、マーニーの輪郭を更にくっきり見せていくのだから、脚本はかなり周到だ。

 具体的にはロリが仕事先として滞在し、マーニーがかつて夫と共に住んでいたニューヨークに行く件からは、明るさの向こう側に陰りが見え始めるのだ。元気の塊のような彼女も抱えている心の空虚さ、それは夫の死から大きくなり始めたようで、彼女もまたそれを完全には乗り越えられてはいない。喪失とはそういうものだ。『マダム・メドラー おせっかいは幸せの始まり』は彼女が、本当に新しい一歩を踏み出すまでを描く物語だと読めてくる。

 終幕に描かれるエピソードの数々では作り手の人間観が鮮明になる。人と人の繋がりがどうやって築き上げられていくのか。それがマーニーが金や時間、そして善意をばら撒くことから始まった人間関係の中に繊細に浮上する。とりわけマーニーがボランティアで働く病院で暮らす老女が、空中に円を描く、その仕草の意味が明らかになるところは目に焼きつく。

 目に焼きつくと言えば、マーニーが良いの仲になる老紳士と一緒にハーレーに乗って風を切る画もそうだ。紳士を演じるのは出ましたJ・K・シモンズ。シモンズがハーレーを転がし、サランドンがその後ろに乗り込む。これが画になるジジババがこの世に他に存在し得るのか。サランドンなど、その前にマリファナを食っちゃっているのだ。どうせなるならこんなジジババ。そのカッコ良い佇まいにノックアウトされる人は多いと見た。





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