ブルーに生まれついて

ブルーに生まれついて “Born to Be Blue”

監督:ロベール・ブドロー

出演:イーサン・ホーク、カルメン・イジョゴ、カラム・キース・レニー、
   トニー・ナッポ、スティーヴン・マクハティ、
   ジャネット=レイン・グリーン、ダン・レッド、ケダー・ブラウン、
   ケヴィン・ハンチャード、トニー・ナルディ、バーバラ・ママボロ

評価:★★★




 世界を魅了する偉大なる才能は、どうして皆、アルコールやドラッグにハマるのか。そして映画で取り上げられる偉人は、どうしてこのタイプばかりなのか。ジャズ・ミュージック シーンで愛されたチェット・ベイカーもまたそのひとり。ベイカーはヘロインにどっぷり浸かっている。

 『ブルーに生まれついて』はベイカーを取り上げながらしかし、多くの伝記映画とは趣を異にしている。大抵は若い魂が才能を少しずつ開花させていき、遂に頂点に立ち、そこで酒や薬に溺れて転落するところを捉える。そこからの復活を見届ける場合もある。ところが、ここでのベイカーは最初からどん底にいるのだ。

 斯くして、留置所の地べたに這いつくばる情けないベイカーがオープニングカットになる。事態が深刻なのは、傍らのトランペットから毒蜘蛛(にしか見えない)が這い出てくるところからも明らかだ。さらにはいくつかの場面を経て、麻薬の売人にタコ殴りにされ、前歯を全て失い、顎を砕かれてどん底を極める。トランペット奏者として致命的な負傷だ。

 そこからはベイカーの復活への道筋が照らされるわけだけれど、爽快で胸がすくような場面はほとんどない。ただ、ひとりの女と出会うことで僅かな希望を見つけるベイカーの翳りある人生が、その孤独と音楽への熱と共に、影絵のように浮かび上がる、この見せ方が格好良い。

 しけた話。それでもそれを彩るあの手この手の装飾がベイカーの奏でる音楽と美しく調和する。モノクロームの色合い。寒々とした海を初めとする静かな風景。音楽のリズム合わせたカット割り。イーサン・ホークの入魂の演技(でも力は入り過ぎていない)もベイカーが創り出す、独特の空気を濃いものにする。

 面白いのはベイカーの今を語りながら、これより前のベイカーがどんな風に生きてきたのか、おぼろげに見えてくるところだ。ベイカー自身も今の向こうに過去を見ているときがある。マイルス・デイヴィスとの関係はもっと突っ込むことができただろうけれど、いや、でもそうするとこの空間に歪みが生じるか。ベイカーのムードある世界に拘ったがゆえの結果かもしれない。





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