ガール・オン・ザ・トレイン

ガール・オン・ザ・トレイン “The Girl on the Train”

監督:テイト・テイラー

出演:エミリー・ブラント、レベッカ・ファーガソン、ヘイリー・ベネット、
   ジャスティン・セロー、ルーク・エヴァンス、アリソン・ジャニー、
   エドガー・ラミレス、リサ・クドロー、ローラ・プリポン

評価:★★★




 ヒロイン、レイチェルが面倒臭い上に、怖いの何の。アルコール中毒をきっかけに離婚するわ、電車の中から見えるカップルを勝手に理想化するわ、それをネタに妄想に耽るわ、元夫に無言電話をかけまくるわ、その幼い息子を家の外に連れ出すわ…。記憶をなくした夜に起こった女性失踪事件の容疑者になるレイチェル。アンタが犯人で良いんじゃないの?

 でもこのレイチェルを、エミリー・ブラントがとても巧く演じるのだ。周囲に迷惑をかけ続けるヒロインの言動の奥底に横たわる激しい怒りや哀しみ、抑え切れない嫉妬や羨望。彼女じゃなくても抱える感情にこれ以上ない説得力を与え、レイチェルにほんの僅か、同情を覚える隙を作り出す。ほとんどエミリー・ブラント ショー。テイト・テイラーはブラントの顔のアップを何度も挿入する。無理もない。

 レイチェルが巻き込まれる事件は終わってみれば、こねくり回した割りには底の浅いもので(犯人の動機がチープでびっくり)。しかもこれはレイチェルが記憶をなくさなかったら謎が成立しないのではないかと思われるのが難。本格ミステリーを謳うのは大いに厳しい。退屈はしない三文小説レヴェルの物語だろう。

 ただ、作り手の(と言うか、原作者ポーラ・ホーキンズの)人間観がそこに入り込むことで多少なりとも陰影が出ている。それは男というイキモノ、女というイキモノに対する視線だ。男女平等が叫ばれても結局は、男中心に回る社会。男はそこにあぐらをかき、女は必死の形相で闘うことを諦めない。それがキャラクターに反映される。

 ここに出てくる男たちは体裁を取り繕うことに懸命で、嘘が上手く、支配欲が強く、暴力的で、優しく見えるものは単に無力なだけという体たらく。その代わり女たちは、醜態を晒しても、どん底に堕ち込んでも、最後の逆転目掛けて食い下がる。

 だからレイチェル以外に印象的なのは、その他の女たちだ。愛人から本妻の座へのし上がり、そこで獲得したものを必死に守るレベッカ・ファーガソン。社会に冷たく扱われながら、ギリギリのところで踏ん張る「理想の妻」ヘイリー・ベネット。女優たちはその肌にその闘いを刻みつける。だからこそ美しく見える。

 尤も、女たちの間にある種の連帯感を浮上させる展開に持ち込むのは強引だったか。母性をキーワードに置いたようで、その装飾に関しては演出不足が免れない。『ガール・オン・ザ・トレイン』を積極的に褒めるのが憚れる、大きな要因だ。





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