人生の特効薬

人生の特効薬 “The Benefactor”

監督:アンドリュー・レンツィ

出演:リチャード・ギア、ダコタ・ファニング、テオ・ジェームズ、
   シェリル・ハインズ、ディラン・ベイカー、クラーク・ピータース

評価:★★




 リチャード・ギアがヒッピー風の白髪老人として顔を見せ、ダコタ・ファニングが大きなお腹を抱えて街を歩く。いきなり見てはいけないものでも見てしまったような気分になる『人生の特効薬』は、人生の転落と再生を描く物語。ギア演じる老人の突飛な立ち居振る舞いがミソだ。

 ギアは一見、気前の良い大富豪だ。「プリティ・ウーマン」(90年)を思わせるほどだけれど、実は数年前に起こした交通事故以来、ある問題を抱えている。事故で親友夫妻を亡くしたギアは、再会した夫妻の娘とその夫のことを妙に気にかける。そこに浮上するのが父性や罪の意識、過去に囚われて生きることであり、それに立ち向かえない人間の弱さだ。

 言いたいことは分かるものの、物語は恐ろしくバランスを欠く。第一に事故をきっかけにしたモルヒネ依存が前面に出過ぎる。弱さを描きやすい側面には違いないものの、それに寄り掛かるばかりだと、本当の問題が見え難くなる。痛みが激しくなると周囲に怒鳴り散らして救いを求める様は、理解はし易くても感じ入るものが少ない。

 それからテオ・ジェームズ演じるファニングの夫との関係に同性愛的なものを感じさせるのも違うのではないか。ギアはファニングのことを娘のように見ていて、同じようにジェームズには死んだ親友の姿を見ている。その上でギアとジェームズがやけに接近した掛け合いを続けるので、余計な深読みをしてしまう。ギアとジェームズのやおい臭、有り難い…と思う人はいるのだろうか。

 最も共感を覚える弱さなら、ギアのファニングに対する態度だろう。ジェームズを始め、多くの人に醜態を見せるギアではあるものの、子どもの頃から知るファニングの前では「しっかり者のおじさん」でいたいらしく、立派な振る舞い。どんなに苦しい状況でも彼女の前では見栄を張る。ほとんど大袈裟に装飾されなくとも、ここに人間の弱さ、それも強さと隣り合わせの弱さが説得力を持って立体性を帯びる。

 クライマックスは案の定、ファニングの出産に絡んだエピソードだ。ギアの抱える問題も突然明るい方向に動き出すのが納得できない。あんなにどん底まで落ちておいて、いきなり精神的にも肉体的にも立ち直るギア。こんな嘘臭さを見せるくらいなら、更なる底を這いずり回る様を凝視して、観る者を打ちのめしても良かったのに。





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