エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に

エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に “Everybody Wants Some!!”

監督:リチャード・リンクレイター

出演:ブレイク・ジェナー、ゾーイ・ドゥイッチ、グレン・パウエル、
   ワイアット・ラッセル、オースティン・アメリオ、
   テンプル・ベイカー、ウィル・ブリテン、ライアン・グスマン、
   タイラー・ホークリン、J・クレイトン・ジョンソン、
   ジャストン・ストリート、フォレスト・ヴィッカリー

評価:★★★★




 「6才のボクが、大人になるまで。」(14年)で12年という時間の厚みを捉えてみせたリチャード・リンクレイターが、再び時間という形のないものを捕まえる。ただし『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』は、主人公ジェイクが野球の才能が認められスポーツ奨学金で入学を決めた大学に入寮し、新学期が始まるまでの、僅か3日15時間に限られる。

 しかも映し出されるのは、ひたすら続く学生ならではのバカ騒ぎのみ。酒を飲み、女の子を口説き、ゲームやマリファナに興じ、大音量の音楽と共に踊り狂い、ちょっとは野球の練習もする。真面目に筋を追いかけたい人は怒り出すかもしれない。もちろん大半の不真面目な大人たちは吹き出す場面の連続だろう。

 けれど、不思議だ。何だか泣きたい気分にもなるのだ。それはリンクレイターがくだらないバカ騒ぎの中に潜む、いや、バカ騒ぎだからこそ抱える、生きていくための大切な養分を見逃していないからだ。全力のバカ騒ぎが人生を何倍も輝かせる肥やしになる。理屈ではない。頭では説明できない。その場で自分が自分でいることで、彼らは代替の利かない宝石をハートに取り込むのだ。

 大抵の男子大学生の口から出てくる言葉なんて、ほとんど下ネタだろう。それなのにそれが、人生のなにがしかの真実に聞こえるのが可笑しいの何の。「飲むときとイクときは一緒だ」。「心の扉をチンコで開けてるんだ」。「自分を変人だと認めるんだ。変人を貫け」。何も考えずに遊んでいるように見える男子たちの全力のバカに心を掴まれる。

 リンクレイターはもちろんバカに寛容だ。3日間、彼らに快楽と悦楽をたっぷりプレゼントする。背景となる80年代のカルチャーと密着したそれが、格好悪くて可愛い(時々格好良い)。いきなりザ・ナックの「My Sharona」から始まるご機嫌な音楽。シャツインスタイルや膝上短パンがまかり通るファッション。お値段安めでオッサン臭を漂わせる男たち(ジェイク役のブレイク・ジェナーは大昔のマット・ディロン風)。男たちのノリを受けて立つ女たち(ジェイクと良い仲になる役を演じるゾーイ・ドゥイッチはリー・トンプソンの娘。なるほど似ている)。傷つきやすくも治りの早いハート。最強のプレゼントを活かし切る!

 大人へと通じる道は想像以上に短い。ついこの前プロムをどうしようと悩んでいた者たちが、アッという間に大人になることを余儀なくされる。3日間をバカとして全力で走り抜いた彼らは、遂に始まった新学期、どこか翳りを漂わせる。表面上は何も変わっていない。なのに、寂しげにも見える。希望と不安の日々の幕開け、それを迎えるまでに彼らは、気づかぬ内に、まずは第一関門を突破していたのだ。





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