手紙は憶えている

手紙は憶えている “Remember”

監督:アトム・エゴヤン

出演:クリストファー・プラマー、ブルーノ・ガンツ、
   マーティン・ランドー、ユルゲン・プロホノフ、ハインツ・リーフェン、
   ヘンリー・ツェニー、ディーン・ノリス

評価:★★★




 そうか、終戦からもう70年以上になるのだ。戦場に身を捧げた者、或いは戦場で虐げられた者の肉体は、いよいよこの世から消えようとしているのだ。『手紙は憶えている』のような映画ができても不思議ではない。主人公は90歳の老人。認知症を患い、もはやその日の記憶も確かではない彼が、家族を殺したナチスの生き残りを探し出す復讐の旅に出る。

 ユダヤ人の老人を演じるのがクリストファー・プラマーで、背筋はピンと伸びているものの、さすがに足取りは覚束ない。同じ老人ホームで知り合った友人に渡された手紙を頼りに目的地を転々、ターゲットを追いかける。手掛かりは名前のみ。本当に彼は復讐をやってのけられるのだろうか。返り討ちに遭うのではないか。見ている方がハラハラする。

 電車やタクシー、バスを利用した旅は、ちょっとした小旅行の趣。派手なアクションは望めない分、その旅路の気配が丁寧に掬い取られる。傍らに銃があり、しかも記憶が頼りない、その不安定な足場にサスペンスを見つけながら。背景との対比がさりげなくも鮮烈だ。

 そうして辿り着く結末は、おそらく作り手としては衝撃的なものとして用意したはずだ。ただ、これは早々に読めてしまうところ、アトム・エゴヤンの伏線の張り方が拙かったということかもしれない。用意周到な計画の存在が、余計な警戒を抱かせる。

 でもまあ、真相どうこうで印象は変わらない。目に焼きつくのは戦争の残骸が未だに妄執として社会を彷徨っている、そのまとわりつくような悍ましさにあるのだから。プラマーも友人役のマーティン・ランドーも、過去から逃れられない。いや、過去の中でしか生きられない。

 もちろん旅路の中で戦争に囚われた魂が浮遊する。中でもナチスに憧れた父を持ち、ユダヤ人嫌いを隠さない警官の姿は目に焼きつく。戦争を支配した恐ろしい意識は未だに生き続ける。形は変わっても、それを消し去ることは不可能とでも言いたげに…。





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